■自分の想いは相手のため?『シュガー・ラッシュ:オンライン』
©2018 Disney. All Rights Reserved.
一方、全米で公開され記録的な大ヒットになっている
『シュガー・ラッシュ:オンライン』もまた多くのメッセージを届けてくれます。“今”を生きる子どもたちにぜひみてほしいと個人的にはいいたい1本です。
この作品のストーリーの根本で言及しているのは、
「真の友情」といっていいかもしれません。
本作の主人公は、ラルフとヴァネロペ。人間たちが知らないアーケイド・ゲームの世界の住人であるゲーム・キャラクターの二人は、大の仲良しで楽しい毎日を過ごしています。
でも、ヴァネロペが活躍するレースゲーム<シュガー・ラッシュ>のハンドルが壊れてしまう緊急事態が発生。このままではゲームが廃棄処分の危機に! それを防ぐためにはインターネットでハンドルを買うことが必要と知ったラルフとヴァネロペはインターネットの世界へ向かいます。
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ただ、そこでヴァネロペは自分が本当に活き活きと生きられ、
自分らしくいられる場所を見つけてしまいます。ラルフと過ごす楽しい毎日も捨てがたい。でも、苦渋の決断で、彼女は新たなレースゲームの世界で自分の力を試す決断をします。
それを知ったラルフはひどく落ち込みます。ヴァネロペと別れるのは寂しい。どうにかして一緒にいたい。そして、ヴァネロペを自分に振り向かせようと、ほんの出来心から、ちょっとしたいたずらをしてしまいます。
それをきっかけに大の仲良しだったはずの二人の関係にひびが入るのですが、本作はそのときどきに沸き起こる二人の感情を互いにぶつけ合うような構成にしてこちらへ届けます。
そのため、われわれはラルフとヴァネロペ、双方の言い分に耳を傾けることになります。
その互いの感情のすれ違いから垣間見えてくる「真の友情」。ラルフもヴァネロペも、自分がどれだけおのおのを想っているか、その思いのたけをぶつけるように語ります。
でも、ある瞬間に、その思いが時に
相手の重荷になってしまうこと、良かれと思ってやったことが相手にとっての
幸せの妨げになってしまうことに気づきます。そのとき、はじめて自分のひとりよがりを認識するのです。
相手のことを想うならば時に一歩引くこと、隠れて見えないところから応援することも必要。そして、二人は自分たちの関係において、ほどよく心地の良い距離と関係を見つけていくのです。
こうしたトラブルはおそらくほとんどの子どもたちが体験したことがあるはず。
友人関係を構築する上で、なにが大切なのか? 子どもたちにヒントをきっと与えてくれることでしょう。
■ささいないたずらが「いじめのタネ」になる
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それからもうひとつ。ラルフがヴァネロペにいたずらをしてしまうと触れましたが、これがのちのち大変なことに。このいたずらがあれよあれよと暴走し、取り返しのつかない事態を招きます。
このことが物語るのは、ほんのささいないたずらが時に
「いじめのタネ」になってしまうこと。
たとえば自分にとってはたいしたことでなくても、相手によってはその人の心を深く傷つけてしまうことがある。仲良くしたいからこそ生まれてしまう相手への嫉妬や憎悪をどうコントロールすればいいのか?
そのことを物語全体で本作は伝えています。そういう意味で、いじめが社会問題になっている日本こそ、最も心に響くメッセージの込められた1作といっていいかもしれません。
いずれも話題性だけのアニメーションではありません。人として大切にしたいことのメッセージが含まれた内容です。そのメッセージに親子で耳を傾け、学校のこと、友人関係のことなどいろいろな会話をもってみてはいかがでしょうか。
『グリンチ』
12月14日(金)全国公開
©2018 UNIVERSAL STUDIOS
『怪盗グルーの月泥棒3D』をはじめ、『ミニオンズ』、『SING/シング』など大ヒットアニメーションを生み出しているスタジオ「イルミネーション」による最新アニメ。
絵本作家、ドクター・スースの代表作を原作に、ひねくれ者のグリンチが起こすとんだ騒動が描かれる。
字幕版のベネディクト・カンバーバッチが担当したグリンチの日本語版吹替えは大泉洋。そのほか吹替え版には杏、宮野真守らが声の出演を果たしている。
ひとりぼっちのグリンチがどんな幸せなクリスマスを迎えるのか注目です!
『グリンチ』と共に同時上映!
『ミニオンのミニミニ脱走』
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『シュガー・ラッシュ:オンライン』
12月21日(金) 全国公開
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2012年に公開され大ヒットを記録したディズニーのアニメーション『シュガー・ラッシュ』の続編。
ゲームの裏側の世界を舞台に、アーケード・ゲームの人気キャラクターであるラルフとヴァネロペ が、ゲーム廃棄危機に直面し、インターネットの世界へ。新たな大冒険を繰り広げる。
インターネットの世界を可視化したアニメーションのユニークな表現に目を奪われる一方で、「真の友情」について言及したストーリーに大人から子どもまで深く考えさせられます。
賀来賢人がシンバ役続投『ライオン・キング:ムファサ』佐藤二朗&ミキ亜生“ティモプン”も登場