マスク生活も相まって、例年以上に体感温度の高い夏になりそうな今年。家のなか中心の生活ももうしばらく続きそうですが、屋内での熱中症も多発しており、体温調整機能が未熟な子どもは、特に注意が必要です。そこで今年も“アツいまち”が主催するイベントに参加し、体感温度を下げるヒントを取材してきました!
■国内最高気温記録を持つ5都市が、オンラインで大集合!
「アツいまちサミット」は、日本歴代最高気温の記録を持つ都市がタッグを組み、2014年から開催されているイベント。熊谷市・四万十市・多治見市・山形市に加え、今年は昨年度、最高気温を出した浜松市が加わり、5都市による開催となりました。
浜松市と多治見市は、環境省の熱中症予防対策事業のモデル都市にも採択されるなど、“暑さ対策の先進都市”としての取り組みを本格化させています。最高気温40度以上の記録を持つ各都市ですが、人が活動できると言われる気温は<31度以下>。そこで生まれたのが、
「体感温度−10度」を目指そう、という今年度のテーマです。
昨年度は計400鉢が栽培され、地域住民間のつながりも生んだ「空中スイカのグリーンカーテン事業」は、今年度5都市での拡大実施が決定。オリジナルの「スイカ育成マニュアル」も一般配布されるそうです。夏の名産や食文化を取り入れた「暑さ対策レシピ事業」でも、引き続き新しいレシピが開発されることが発表されました。
■体感温度を下げる工夫やヒントを、各都市が考案!
ここからは、5都市それぞれが考案した、今年の「暑さ対策」企画をご紹介します!
【浜松市】 小学生のアイデアにも期待! 5つのアツい!取り組み
昨年度の国内最高気温41.1度を出した、浜松市。うなぎや餃子などの名産のほか、ピアノやバイクなど工業都市としても知られる街です。初参加の今年は、市民への認知度アップを目指し、
中心市街地の施設や企業と連携しながら、5つの取り組みを行うとのこと。
具体的には、小学生発案の熱中症対策の募集、企業と連携して麦茶を配りながらの清掃活動、市内有数の雑貨市でのアピール、飲食店での涼感メニュー特集、そして涼感食材であるハーブの栽培実験などを実施。「暑さ対策をまちづくりにどう活かしていくかを考えていきたい」とのことでした。
【四万十市】 米ナス料理で体を冷やそう! 「米ナスキャンペーン2021」を開催
米ナスの露地作付面積日本一の高知県四万十市からは、昨年に続き、
「米ナスキャンペーン2021」の企画が登場。水分と利尿作用を持つカリウムを多く含む米ナスは、体を冷やす効果がある四万十市の特産品です。
スタンプラリー第二弾やInstagramでのキャンペーンのほか、今年は5都市の飲食店50店舗に食材提供をし、全国での知名度アップにも取り組むとのこと。いいね&フォローだけで参加できるコースもあるので、料理好きな方は「米ナス#キャンペーン」をチェックしてみては?
【多治見市】 “アツい”業界人対策を特集したドラマを制作
全国の食器の6割を生産している焼き物のまち・岐阜県多治見市では、新プロジェクトが始動。美濃焼の窯元や、うなぎ店など、夏でも“アツい業界”で働く人にインタビューを行い、地域PRも兼ね、
熱中症予防のヒントを盛り込んだショートドラマを制作することが発表されました。7月にYoutubeにて配信予定とのこと。
エキストラやスタッフも募集するそうです!
【山形市】 冷やしラーメン・冷やしシャンプーに続け! 新たな「冷やし文化」を発掘
山形県山形市は、今では全国区になっている「冷やしラーメン」や「冷やしシャンプー」などの文化を生み出してきた街。そうした経緯から、
新たな「冷やし文化」の発掘を行うコンテストを開催するとのこと。郷土料理である「水まんま」コンテストも、全国区への発信を目指すそうです。
大学のゼミと連携し、学生メンバーと「-10度の空間」を創り出すアイデア提案なども行いながら、移住者や観光客の促進や地球環境問題などへの寄与も果たしていきたい、との発表がなされました。
【熊谷市】 “流し氷”を真似してみたい! 「星川ひんやりロード大作戦」
熱中症ガイドブックを全戸に発行するなどの啓蒙活動を熱心に行い、「ひと涼みアワード」(※)では初の殿堂入りも果たしている埼玉県・熊谷市。毎年多彩な企画を実施していますが、今年は熊谷駅近くの「星川」沿いでの納涼企画を発表しました。
川沿いに緑あふれる休憩スポットを作り、その周辺で、「流しそうめん」ならぬ
「流し氷」のイベントを開催する、というこの企画。流した氷の中には、星川沿いの飲食店の販売券や割引券が入っており、溶かして取り出せる形にするそうです。ゲーム感覚も楽しいこの企画、開催日は未定とのことですが、熊谷市近辺の方は要チェック。自宅でも簡単に真似できるので、親子の夏休み時間に“涼しい遊び”として楽しんでみては?
なお熊谷市は、来年度から学民連携での研究開発事業も開始。
個々人の属性によって異なる熱中症リスクを正確に測定する研究だそうで、全国に先駆けた先進的な取り組みには、今後も注目したいところです。
(※) 熱中症声かけ予防プロジェクト主催
■自由研究のテーマにもおすすめ! 伊藤園のSDGsの取り組み
毎年「アツいまちサミット」に参加し、ともに啓蒙活動に取り組んでいるのが、「お〜いお茶」でもおなじみの伊藤園です。
同社は地球の温暖化対策や日本の暑さ対策をテーマにした
「小学生SDGsサミット」を、朝日小学生新聞や読売KODOMO新聞と共同開催しており、今年は2021年6月26日、オンラインで開催されるそうです。
企業活動としても、
<リサイクル素材100%のペットボトル>への切り替えを進めているほか、今年は「茶殻のリサイクル」について興味深い発表も。
大量に出る茶殻は紙に混ぜると強度が増すため、卵などの緩衝材や段ボール、封筒、社員の名刺に活用されているそう。さらに、消臭効果や抗菌効果のあるカテキン成分も多く含まれているため、昨年はマスクケースやマスクフレーム、さらには自動販売機のボタンに貼る茶殻抗菌シールなども制作したとか。人工芝に茶殻を加えると、表面温度を7度も抑制できるそうで、スポーツ競技場などへも活用が広がっているそうです。
■マスク生活の夏は、ミネラル補給と「点滴飲み」を習慣づけよう!
最後に、熊谷県出身の黒沢哲夫医師(千葉中央メディカルセンター)から、マスク生活での熱中症リスクについて注意喚起が。機密性の高い現代の住宅は、日中の日差しが壁や天井に蓄えられ、放射熱となって室内に流れ込んで来るため、夜でも室温が下がりにくいそう。そのため室内や夜間でも、熱中症が起こる可能性が十分にあるそうです。
加えて、マスク生活では喉の渇きを感じにくく、水分補給を怠りがち。体温調整機能が未熟な乳幼児や、喉の渇きを自覚しにくい老人は特に注意が必要。水分だけでなく、ミネラルも一緒に意識的に補給することが重要だそうです。ただし、一気に補給しても体にうまく吸収されないため、ちょこちょことこまめに飲む
「点滴飲み」を心がけて!とのことでした。
伊藤園の「健康ミネラルむぎ茶」は、
『乳児用規格適用食品』として、乳児や子どもも安心して飲める飲料。カフェインゼロ・無糖・カロリーゼロなので、家族全員でごくごく飲んで、暑さ対策につなげたいですね。熊谷市では、オリジナルパッケージボトルも販売されています。
気候変動が激しくなり、環境問題を身近に感じる近年ですが、私たちも暑い街に暮らす皆さんにならって、食品やグリーンなども上手に活用しながら、体感温度を下げる工夫を行っていきたいですね。家族皆でこまめな水分&ミネラル補給を心がけながら、今夏のマスク生活&おうち時間を乗り切っていきましょう!
(取材・文/外山ゆひら)