ウーマンエキサイトをご覧の皆さん、こんにちは。茹だるような暑さの中 長い長い夏休み…ですね。
わが家の3兄弟もパソコンに1人向かう母を尻目に朝から庭のプールに…いいなぁ〜。
さて、外に出る気も失せる猛暑なので読書は良いですよね。夏は読書感想文が宿題として出ているところが多いと思うので、小学生高学年になってれば、文豪の名作小説をおすすめしたいところです!
例えば『走れメロス』。これは子どもでも、作者の名前を知らなくても聞いたことのある名作ではないでしょうか。
人を信じることの大切さを説くような、感動の友情物語…という紹介のされ方が多い作品ですが…作者さんはというと…?
文豪界のクズ代表といえば…!
そうそうそう!
作者の太宰治といえば…『無頼派』と呼ばれる権威・道徳に反発し戦中戦後の抑圧された人々から絶大な支持を得た作家、と言えば聞こえは良いのですが!
実生活は乱れに乱れた生粋のクズ!
文豪界のクズ代表と言っても過言ではないんですよね…。
今でもファンが多く永く読まれる素晴らしい作品を生み出した太宰治とは…?
そんなわけで、クズとしても有名すぎる太宰治ですがまたまた人生と作品を振り返ってみましょう。
なんと言っても驚くのは、人生で計4回の自殺未遂…5回目についに本懐を遂げたということ。
しかも5回のうち3回はお付き合いしていた女性を道連れにしようとしています。
うーん、ちょっと子どもには聞かせたくないお話です。
ちなみに太宰は経済的に恵まれない生活をしていたのでしょうか…?
いやいや、逆なんです。
大金持ちの放蕩息子で、学校も裏口のような形で入学する始末。仕送りはなんと現在の価値で月100万円…!!
それなのにエリート意識の強い家族や権力構造への反発心だけは強かった…なんてもうこの時点でクズポテンシャル高すぎではないですかぁ!
現代ならいかにもネットで炎上するタイプの金持ちお坊ちゃん系クズですよね…。
十分すぎるほどに経済的に恵まれた環境というのは一見幸せそうですが、お金はあっても太宰治という人間を理解できた家族はいなかったとも言われています。…他人の家の中も心の中も覗くことはできないので実際のところはわからないですが。
見事に自己中な行動の数々!
そんな太宰さんの憧れの人は芥川龍之介氏。こちらも有名な文豪のひとりです。
芥川龍之介が好きすぎて似顔絵を描いたり講演を聴きに行ったりするほどの入れ込みようでしたが、太宰18歳の時に自死。
このこともまた彼の希死念慮を強めたのではないかとも言われています。
そして当然のごとく、芥川賞ができると受賞を目指します。
25歳の時に第一回芥川賞の最終選考まで残った太宰。それはそれは嬉しかったに違いありません。
しかし選考委員の川端康成によって、才能はあれど私生活が荒れすぎていることを理由に落選させられて大激怒。川端康成を名指しして「大悪党」「刺す」などと書いたり、同じく選考委員である佐藤春夫(覚えてますか?谷崎潤一郎と妻を巡って一悶着あったあの人…!)に長さ4mにも渡る超長い懇願の手紙を送りつけたりと大騒ぎ。
結局生涯、一度も憧れの芥川賞を獲ることはできなかったそうです。
なんだろう、素直に同情できないんだけど…。
そして、冒頭の『走れメロス』にも実はこんな裏話が…!
宿賃を払えずに借金のカタに親友を置いて帰ったまま、呑気に将棋を打っていた…って愕然ですよ。
『走れメロス』は人間不信の暴君に親友を人質に取られ、メロスは死に物狂いで走ってたのに(※実はほぼ歩いていたという検証もされていますが)物語の作者は走りません。
えぇ〜? なんで?
ちょっとさすがに知りたくなかった…なぁ。あの感動は一体、となるやつですねこれ。
とにかく情緒が不安定!
最後まで大騒ぎの『グッド・バイ』
自分の生きづらさからの自堕落っぷりに強いコンプレックスを持って人生を送った太宰治の絶筆はその名も『グッド・バイ』(未完)。
愛人をはべらす男性主人公が心を入れ替えようと美人な女性に妻代わりをしてもらい、愛人たちと別れていくというコミカルながら太宰らしい自虐要素の強い筋書きを書いている途中で、当時リアルに愛人であった山﨑富栄と玉川上水へ入水。
これが5回目…享年38歳。
生きづらさに苦しむ主人公『人間失格』
「恥の多い生涯を送ってきました。」という冒頭の文章があまりに有名な太宰治の代表作の一つである『人間失格』。まさに自身の手記、自伝かと思うほどに人間社会の中で上手に生きられない、生きづらさに苦しむ主人公に…モヤモヤしっぱなしなのですが…。
太宰治の生涯を知ってから読むとまた読後感が変わってくるなと思います。
自分自身や周りの人たちを見ていても思うんですが、誰だって自分のダメなところって目を背けがちになりません? 自分のダメさを人のせいにしたり、環境のせいにしたりして正当化してしまうことってあると思うんです。
でもね、太宰治はそういう人として弱い部分、甘ったれたところ、
ダメだとわかっているのに変えられないところを真っ直ぐ見つめて作品にしています。
自分の中に強烈な闇を抱えて、それを受け流さず見つめ続けたからこそ素晴らしい作品が生まれたのでしょうが…それと一緒に生きていくのは苦しかったんだろうなぁとも思います。
そしておそらくどうやって死ぬかまで含めてあるべき人生を模索していたのかも…。
現代は一昔前の人と比べると便利な生活をしているけれど、自分はこれでいいのかな? 常に何かが足りないという思いに追いかけられて不安を感じている人も少なくないのではないでしょうか。
そんな現代…いやどの時代においても、太宰作品は多くの人の心を揺さぶる名作なのは間違いない!
…のですが こんだけ語ってから言うのもなんだけど、小学生には作者のことは考えずに『走れメロス』を純粋に楽しんでほしいです。
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