コミックエッセイ:夫婦・子育ていまむかし

死後も子どもにプレゼントが届くよう…純粋で危険な人生を送った三島由紀夫とは 〜文豪クズ男列伝〜【夫婦・子育ていまむかし Vol.18】



美輪明宏に「君は、大物になる」とつぶやいた

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元々梨園出身でもなく歌舞伎で主役を張る家柄ではない14代守田勘弥の養子として育てられた少年を、三島由紀夫は自作の歌舞伎『椿説弓張月』でヒロインの白縫姫に大抜擢。

三島は若き日の玉三郎さんを

「薄翅蜻蛉(うすばかげろう)のよう」

と評し、これまた自作の『サド侯爵夫人』を

「将来君がやる作品だから持っていなさい」

と手渡したそう。現在の消えてしまいそうな儚い少年美を愛でつつ、将来凄みのある立女形に育つことも見越したその審美眼…恐れ入ります!!

もうひとり、三島由紀夫と親交のあった有名な方は、美輪明宏さんです。

銀座のゲイバーでアルバイトしていた16歳の頃から、三島だけでなく各界の著名人たちを虜にしていた美輪さん。『仮面の告白』が大ヒットし、周囲から先生先生とチヤホヤされていた三島に、当時アルバイトしていた美輪さんは指名されても媚びることがなかったそう。

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類稀な美貌だけでなく、遊郭育ちもあってか常連の文豪たちのジョークにも洒脱な切り返しをする頭の良さで既に売れっ子だった美輪さんですが、フランス語で歌ったシャンソン『ばら色の人生』を聴いた三島がいたく感動し

「君は、大物になる」

とじっと見つめてつぶやいた、そのたった一言が千万の言葉よりも嬉しかったと後に美輪さんは語っています。

自決の前には、300本もの薔薇の花束を手に楽屋を訪れ、

「もう君の楽屋には来ないからね」

と言って、最前列でコンサートを聴いて去っていったそうです。その後…あの自決事件は起こるのです。

他にも岸田今日子さんや若尾文子さんのような往年の名女優も多く見出した三島ですが、あまりに美しい話ばかりなので、一つクズ繋がりのエピソードを入れておこうかな…。

太宰治に直接「嫌い」と言い切る!

そう、クズ文豪代表である太宰治先生!
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当然っちゃ当然だけど、こういうタイプ苦手そうですよねー。

既に売れっ子作家だった一回り以上歳上の太宰の退廃的な生活態度を批判していました。(そりゃそうだ)
直接会いに行くことになり、酔って持論を展開する太宰に直接「嫌い」と言い切った三島も三島ですが、

「こうして会いに来てるんだから、やっぱり好きなんじゃないか」

と平然と返す太宰もいかにも太宰らしくていいですね(事実どうだったのかはわかりませんが…。)

でも本当は、この嫌悪感は同族嫌悪に近いものだったのではないか、と言われています。太宰の弱さにイラッとするのは、三島自身も元々は虚弱体質で男らしいへのコンプレックスも強かったようです。(三島は後年 鍛え上げて筋肉自慢の肉体を手に入れました!)

こうして見てくると三島由紀夫という人は、並外れた頭脳と鋭敏な感性を持つがゆえに異様に繊細で、言葉や表現に対しても人に対しても究極の美を追求し過ぎる…要するに極端で危険なタイプだったように思えます。(…だから天才なんですけどね)

作品もまた何を紹介しようか悩むほど名作揃いなんですが、悲劇的な愛や美を求めるお話が多いのでとっつきにくい方も多いかもしれません。

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でも、三島は劇作家としても素晴らしいので本をあまり読まない方でも接しやすい古典をベースにした戯曲も多いんです。もし初めて三島作品に触れるなら珍しくコミカルでハッピーな創作歌舞伎『鰯売恋曳網』が軽めでおすすめですよ〜。

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