塾代や習い事の費用など、毎月出ていく教育費の支出。「子どもが大きくなるまでに、これから一体いくら教育費がかかるのだろう……」と不安になる瞬間はありませんか? そんなママやパパに役立つアドバイスを与えてくれる書籍を紹介します!

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2025年2月の衆議院予算委員会で集中審議されていた「高校授業料無償化」。近年は大学授業料も一部無償化になってきているとはいえ、自分たちに適用になるのかを含めて教育費の先行きは見通しづらいもの。
「これから一体いくら教育費がかかるのだろう」と漠然とした不安を感じている家庭は少なくないと思います。
そんなママやパパに役立つアドバイスを与えてくれるのが、前野彩さんの
『教育費の不安にこたえる本』(日経BP)です。今回はこの書籍を参考に、教育費との向き合い方について特に役立つポイントをまとめました。
※本記事で紹介する情報は、2025年4月時点のものです。

独立系ファイナンシャル・プランナーとしてテレビでも大活躍の前野彩さんのこの著書では
「教育費についてどう考え、どう準備していけばいいか」がわかりやすく解説されています。公的支援や制度の併用によって支出を抑える裏ワザなども紹介されており、教育費に不安を感じているママ・パパ必見の一冊です!
本記事では、その一部を紹介します。
■前野彩(まえの あや)さん プロフィール
ファイナンシャル・プランナー・CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2001年に中学校・高校の養護教諭からFPに転身。「お金の安心と可能性をかたちに」を理念に、「知れば得トク、知らなきゃソンするお金の知恵」を伝える。『日経クロスウーマン(DUAL)』では2013年の創刊から2018年末まで連載を担当。金融商品の販売を行わない独立系FPとして個人相談を中心に活動するほか、講演やテレビでも活躍。
■1人2〜3,000万円なんて払えるの!?

「教育費の不安にこたえる本」(日経BP)より イラスト:エイイチ
一説によれば、大学まで通わせた場合、子ども一人にかかる
教育費は2〜3千万円との試算も。総額で考えると「そんなに用意できるだろうか」と不安に駆られますよね。
しかし教育費の大事なポイントは、今すぐ一度にお金が必要になるわけではない点。
「毎月これくらいの額なら乗り切れる」と具体的な数字をざっくり知って、前向きに考えていきましょう、と前野さんはアドバイスします。
・ 「総額」ではなく「毎月かかるお金」で考える
・ 「正確な金額」ではなく「ざっくり」をつかむ
・ 「いくらかかる?」ではなく「いくらかける?」で準備する
また教育費は、病気などの予測できない支出に比べ、「いつ」「いくら」必要になるか大体の目安を立てられる「予想ができる支出」といえます。
▼「積立」「やりくり」2つの柱で考える!
そこで前野さんが提案するのが、下の図のように「三角形+四角形」で教育費を考える方法です。
「三角形」とは、毎月の児童手当を
積み立てて大学資金を作る貯蓄のこと。
「四角形」とは、学校関係費用と塾や習い事などの学校外費用で、毎月の家計から
やりくりして支出していくものを指します。

「教育費の不安にこたえる本」(日経BP)P21より
『金額をざっくり押さえて「コツコツ準備&コツコツ支払い」で乗り切りましょう!』と前野さんはアドバイスします。
Point:必要となる教育費はコツコツ貯めて、コツコツ支払えばいい!
教育資金に組み込める「支援制度」とは?

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近年は子どもの出産や教育に対してさまざまな支援制度があり、この金額感を掴んでおくことが、
教育費を考える上で非常に重要です。
なかでも、教育資金にしっかりと組み込みたいのが「児童手当」。児童手当は、
住んでいる地域や勤めている会社に関係なく、かつ所得制限がなく、子どもがいる世帯全員が受け取れることが特徴です。
▼「児童手当」で国立大学費用がまかなえる!?
現行制度において、ひと月あたり1.5万円〜1万円、第三子以降は3万円となります。第三子とは「22歳の年度末まで」に該当するきょうだいのうち3番目の子を指します。子ども一人ならば
ざっくり240万円、年齢差が2歳の3人きょうだいなら
総額で1150万円になる試算です。児童手当を使わずに積み立てていけば、国立大学4年間にかかるお金の合計243万円をほぼまかなえる金額です。

「教育費の不安にこたえる本」(日経BP)P17より
児童手当を受け取るためには、
子どもが生まれてから15日以内に市区町村役場での手続きが必要です。「手続きが遅れた分は支給されないため、
出生届と同時に行いましょう」と前野さんはアドバイスします。
Point:児童手当を積み立てるだけで、国立大学費用がまかなえる!