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キャリアの明暗を経験した「刀」森岡毅が語る“働くことの本質”。『苦しかったときの話をしようか』書評

マイナビウーマン
キャリアの明暗を経験した「刀」森岡毅が語る“働くことの本質”。『苦しかったときの話をしようか』書評


将来のこと、仕事のこと……色々な悩みで溢れかえって疲れている時、無意識に「やさしいタイトル」の本ばかり手に取ってはいませんか?

たしかに、心の疲れをスッと取ってくれるような本を読むのも大切。だけど、やさしい声ばかりかけられていては、ストレスはなくなったとしても、根本でもある「本当にこのままでいいのか」「今の仕事を続けているだけでいいのか」という悩みの解決にはつながりません。

先のことをきちんと考えたいなら、きちんと課題を指摘してくれるような本も手に取るべきです。手元に置いておけば、誰でも一度は必要になる「働くことの本質」を突き詰めた本を見つけました。


【この本を読んで分かること】

・私たちが生きる世界は「なぜ苦しいのか」

・仕事で苦しくならないためのキャリアの選び方

・将来への不安を抱えずに挑戦する方法


■苦しいのは自分のせいではなく、資本主義社会だから

キャリアの明暗を経験した「刀」森岡毅が語る“働くことの本質”。『苦しかったときの話をしようか』書評


『苦しかったときの話をしようか』(森岡毅著・ダイアモンド社)は、今何かと話題のビジネスマン、森岡氏が執筆した「キャリア思考論」についてまとめた書籍です。森岡氏といえば、日本を代表する戦略家・マーケターの1人であり、現在は株式会社「刀」の代表取締役CEOを務めています。

森岡氏は倒産寸前と言われたユニバーサル・スタジオ・ジャパンを劇的にV字回復させた人物として広く知られていますが、2026年2月には、自身が手がけたお台場のイマーシブテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が閉館に。彼自身がマーケターとして、そして経営者としてキャリアの岐路に立たされていると見る意見もあり、2019年に執筆された本書が再び注目されています。


『苦しかったときの話をしようか』は、森岡氏が就職活動に悩む実の娘に向けて書き溜めた「虎の巻」をベースにした一冊。学生向けに書かれた本でありながらも、私たちが生きるシビアな「資本主義のルール」の解説からスタートします。

世界は平等でなく、私たちの生まれも、育ちも平等ではありません。資本主義の世界では、資本を持つ者がどんどん豊かになっていく仕組みであり、だからこそ私たちは、自分の価値を磨かないと「搾取される側」になってしまうのだそうです。資本主義経済についてのパートは耳が痛い話ばかりですが、社会のリアルを突きつけられなければ、正しい道を選ぶことが難しいのもまた、現代です。

スマホを手に持てば、趣味や推しの情報でタイムラインが溢れかえってしまう。本当に正しい情報は、こうして自分から本を手に取り摂取しに行かなければ、手に入れることすらできないのです。お金も、情報も、資本主義の中で、とある場所にしか集まらなくなっている……だから、私たちは苦しいのです。


■「ハッピーな状態」から逆算するキャリア思考法

キャリアの明暗を経験した「刀」森岡毅が語る“働くことの本質”。『苦しかったときの話をしようか』書評


そして、森岡氏は「今苦しいのは 自分が苦しいのは能力のせいではなく、単に勝てる場所や戦略を知らないから」だと説きます。本書では、自分の強みを見つける方法として「T・C・L分類」というフレームワークを紹介しています。T・C・L分類では、何をしている時が一番心地よいかを徹底的に自己分析し、楽しく働くための自分の武器探しができます。

本来は、自分の人生で絶対に達成したい目標や夢があれば、見据えるべきキャリアも自ずと定まってくるもの。しかし、女性の場合は結婚、そして出産といったライフステージの変化がやってくる場合も多く、実際には将来のイメージをしっかりと描けない人も多いでしょう。

そんな時に「結婚とキャリアって、どっちが大切?」と考えるのは鬼門。たくさんの本を読んできた筆者でも、その問いに対し納得できる答えを提示してくれた本はありませんでした。

だからこそ、森岡氏は「自分にとってハッピーな状態がどんな時なのか」を考えることが大切、と教えてくれます。
これなら、仕事か家庭か、といった極論の問いに答えを出す必要もなく、自分がハッピーでいるためには何が必要か、どんな仕事をしていくべきかを因数分解して考えることができます。

本の中盤では、森岡氏のアシストの元、実際に「T・C・L分類」を行なって、自分の強みを探していくことができます。それぞれの結果に合う働き方や職種なども紹介されているので、すでに社会人の私たちは、ここで知った強みと、現在の仕事が一致しているかどうかを考えることもできます。

■「やるかやらないか」ではなく「やった後どうするか」を考える方がハッピー

本の後半では、自分という商品の価値の高め方についても触れられていきます。せっかく「T・C・L分類」を行なっても、転職活動が怖いと思ってしまうのは、自分の商品価値に自信がないからなのかもしれません。しかし本書では序盤から「自信が持てないのは、戦い方を知らないから」と何度も語られます。

森岡氏によれば、就職や転職面接での勝ち方とは、すなわちマーケティングなのだとか。自身の価値を見極め、適切な会社に、適切に伝えればいいだけ。
これだけ聞くと難しそうだと感じる人も多いかもしれませんが、本書での森岡氏の言い切るような書き口を堪能していると、自然と論理的に考えることができるはずです。

そして終盤では、タイトルにもなっている「苦しかった話」についても触れられます。世間的には成功者と言われている森岡氏も、何度も挫折し、夜も眠れないほどの不安を経験してきたと言います。もしかしたら、今もそんな日々を送っているのかもしれません。

しかし森岡氏は、その不安を「自分が成長しようとしている証拠だ」と語ります。人生に不安は付きものであり、目標を決めたからといって、絶対に達成できるとも限りません。重要なのは、どの道を選ぶのかよりも、選んだ後でどう動くかが重要。そう考えれば、ライフステージの変化による急なキャリア転換も、起こった後にどうするかを考え、行動できれば大丈夫ということになります。


本の中でも印象的な「失敗しない人生こそが、最悪の大失敗」という言葉。例えば、キャリアを失うことを恐れて結婚や出産を最初から諦めれば、いつか後悔するかもしれません。やらない後悔より、やる後悔、咲く場所は自分で選べ。多くの自己啓発書にも載っていそうな内容だけど、そのための具体的な思考法がきちんと書かれているのが、本書の特徴でもあります。

それこそ、ここまで具体的に書かれたら、考えずにはいられないというほど。本を手に取れば自ずとキャリアに向き合うことになるし、もし本を読んでつまらないと感じたのなら、あなたはしっかりと自分を分析して働けているということなのかもしれません。

それでも今の時代、人生で一度も「今の仕事のままでいいのかな?」と考えないで済む人はとても少ないはず。そんな、いつかの自分の特効薬になってくれる本です。


(ミクニシオリ)

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