世界的ヘアメイクアーティスト加茂克也が手掛ける“未来の麻世妙”とは?--1/2【INTERVIEW】
Photo by Kazan Yamamoto (c) FASHION HEADLINE
白さや柔らかさ、質感に驚いた麻世妙で作る美しくて繊細、ポップでキュートなヘッドピース日本人が忘れていた布、大麻布。明治初期まで日本人の暮らしに身近な存在だった大麻布は、紡績の難しさから工業化に乗り遅れ、さらにはGHQの大麻規制法により生産量は激減。自然と日本から姿が消えていった。しかし2014年秋、連綿と続いてきた大麻布の歴史を掘り起こし、現代の産業技術によって、100%大麻の国産ファブリック“麻世妙majotae”としてよみがえったのだ。復活した大麻布“麻世妙majotae”の物語に共感したクリエーターたちが、その“未来への可能性”を表現したインスタレーションを4月1日から伊勢丹新宿店本館7階催物場で開催される「麻世妙~日本人が忘れていた布~」で提案する。その参加クリエーターの1人が「アンダーカバー(UNDERCOVER)」「ジュンヤ ワタナベコム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARCONS)」「シャネル(CHANEL)」などのコレクションショーで唯一無二なスタイルを生み出し続ける、ヘアメイクアーティスト・加茂克也さんだ。今回、加茂さんが“麻世妙majotae”を使って何を表現するのか、製作真っ最中のアトリエにお邪魔して話を伺った。―今まさに製作中という臨場感あふれたアトリエですが、今回麻世妙でクリエーションしようとしているのは、どのようなものなのでしょうか。
麻世妙を使って5体のヘッドピースを製作中です。最初は、5体すべてを一つのテーマでまとめたほうがいいのかと思っていたのですが、作り始めるとポップさやシンプルさなど、一つひとつが独立したイメージを持つ表現になっていきました。観ていただく方々にとってもいろんな表現があったほうが楽しめるかなと今は思っています。―麻世妙に触れてみていかがでしたか。白さや柔らかさはもちろん、シルクのような手触りのものあり、そんな大麻布の質感に、とても驚きました。ヘッドピース用には、一番薄いもの、中間のもの、厚みのあるものと4種類選びました。厚みが変わると表現(したいもの、できるもの)も変わります。素材感も表現する上で大事な要素です。
―この5体のヘッドピースですが、どんな風に作っていかれたのですか?他も大体そうなのですが、いきなり試作から始めましたね。―作品の中でも薔薇や幾何学的なモチーフに、従来の加茂イズムのようなものを感じますね。一方、きのこやうさぎの耳のようなポップなモチーフは、どんなイメージで作られたのでしょうか?耳がついているとカワイイな、とか、頭にキノコってポップだなとか、そんな感じです(笑)。最近、若い人と会う機会が多くて、彼らの言葉や感覚って面白いと感じることが多いんですね。また今の若い人たちのストリートファッションに興味がある。この前、カバンにミッキーマウスを20個ぐらいつけている子がいたんです、20個ですよ(笑)。そのぶっ飛び具合が「すごい!」って。そんな風に意味はわからないけど、見た時に“すごい!”って心に訴えかけるものを表現したかったんです。
―確かに“え、何これ!?”と近寄りたくなります。しかしモチーフがポップな耳やキノコであっても、美しい薔薇や幾何学模様であっても、表現の緻密さには驚かされます。トゲとかキノコの生え方、などディテールへのこだわり方がすごいですね。パッと見た印象をすごく大事にしています。そこに何か違和感があるとダメなんです。違和感って感覚的なもので具体的に言葉では表現しにくいんですが、このトゲはいいけれどこれはダメとかね。気に入るようなトゲにするために何度も試作したりしますよ。あとキノコは、まっすぐではなく横から出ているような生え方にするとニョキっとしていてキノコっぽいとかね。
小さなことですが、そんな一つひとつが見た目の印象につながっていくんです。後編では、麻世妙クリエーションに込めた想いや姿勢、自らのアイデアの源泉について迫る。2/2に続く。
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