花のない世界では人類は滅びたと思う--チームラボ猪子寿之1/2【INTERVIEW】
「Floating Flower Garden - 花と我と同根、庭と我と一体」、庭と一体化する猪子寿之氏
古来より、花はその美しさで人を魅了し、時に惑わし、時に脅威の感情さえ与えてきた。すなわち、もしもこの世に花が存在しなかったとしたら、人はいつだって正気でいられたかもしれないということだ。
仮にそのパラレルワールドがあるとして、その世界はどのような発展を遂げただろうか?
この禅問答に対し、「花のない世界では人類は滅びたと思う」と回答したのは、ウルトラテクノロジスト集団チームラボ代表の猪子寿之氏。その言葉の背景に隠された真意に迫ってみた。
――花の魅力って何だと思いますか?
花は生命の山河である一方、散る瞬間には死の美しさを呈している。あと、共生の象徴でもあるということ。植物は海から陸に上がって進化を遂げていく過程で、太陽の光や地中の栄養をよりたくさん摂取するために、より高くより深く形を変えていくんだけど、一方で突然、花や実をつけ始めるのね。植物に花が咲くと、蜜を吸いに来た虫や鳥が花粉を運んで、より広い範囲へと繁殖していくことになる。
虫や鳥に選ばれるために、植物はより目立つ花を咲かせ、より栄養の高い実をつけるんだよね。