花と人は共に生きるんです--チームラボ猪子寿之2/2【INTERVIEW】
――現在開催中の「踊る!アート展」に展示されているインタラクティブインスタレーション「Floating Flower Garden―花と我と同根、庭と我と一体」 は、どのようなコンセプトなのでしょう?生花を用いているのが珍しいですよね。タイトルは「花を見たとき、花のほうも自分をみているという感覚を抱くに至ったときこそ、花との一体感を得られるだろう」っていう意味で、古い禅の言葉をもじったものなんだけど、つまりは、禅僧が自然を模して作った庭で修行するとき、本物の自然の中にいる錯覚を覚えると同じくらい、来場者に空間との一体感を感じてもらえたらってことを考えた。みんなお洒落な花屋に行って、部屋に花飾って共生しているつもりでいても、実際こんな間近で見たことないでしょ?――改めて花と相対した気分でした。この作品は、センサーで人を感知すると花が上がる仕組みで、自分が前に進むためには花がスペースを作ってくれるのを待たないといけない。つまりは花と対峙せざるを得ない装置。花が自分を見ることによりスペースが生まれ、そこで初めて自分が花を意識し、花も自分を意識しているという感覚を得ることが出来ると思う。――一方、「花と人、コントロールできないけれども共に生きる、そして永久に―Tokyo」はデジタルでのフラワー表現がとても印象的な作品ですが。そう、Floating Flower Gardenとは全然アプローチが違うんだよ。
2014年、 国東半島芸術祭に常設する作品(「花と人、コントロールできないけれども、共に生きる―Kunisaki Peninsula」 )を作るにあたって国東に下見に行ったんだけど、あそこはヤバい。自生とは思えない程そこら中じゅうに花が咲きまくっているんだよね。一部は国東の人達が植え、それを種にして増え続けているらしい。だから、国東半島芸術祭に出展したオノヨーコはベンチ作っちゃうし、カラフルな花でキャッチーな作品作ってるチェ・ジョンファだって菜の花畑に丘作っちゃったんだよ。みんな国東の自然にやられちゃったんじゃないかな、自分の作品見せるより、この広大な風景見るためのもん作ったほうがいいじゃねーかって。(笑)。――なるほど(笑)。それがきっかけで、人間が自然を理解した上でコントロールしているからこそ出来る環境が存在していると気が付いた。
英語で”Nature”っていうと、人の手が一切加えられていないアラスカの大地とかサハラ砂漠みたいなものを想像するけど、日本人はサハラ砂漠を見て「自然豊か」とは思わない。日本人にとっての”Nature”は、常にそこに人が存在しているんだよね。人が存在してないものは自然ですらない。つまり、日本人にとっての「自然」ってすごく居心地の良い空間なんだけど、西洋人が言う「自然」ってある種、驚異の対象のようなもの。国東には日本最古といわれる棚田もあって、自然豊かな風景だとか思ったけど、あれはどう考えてもテクノロジーの塊でしょ。そう思うと、全てをコントロールすることはできないにしても、人はそこに確かに存在して、花とともに生きているってことなんじゃないかな。――花を愛しているんですね。花々が勝手に成長、衰退を繰り返すこの映像インスタレーションは、人の存在を感じると急激に増殖したり、死滅したりする。
花はコントロールできないけれども共に生きるんです。【イベント情報】チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地会場:日本科学未来館住所:東京都江東区青海2-3-6会期:2014年11月29日から2015年5月10日まで時間:10:00から17:00(土・日曜日、祝日は19:00まで、入館は閉館30分前)※ゴールデンウィーク期間中(4月29日から5月10日)も、19:00まで開館延長。休館日:火曜日(4月28日、5月5日は開館)料金:当日/大人1,800円、小学生以上18歳未満1,200円(土曜日は1,100円)、3歳以上小学生未満900円リピーター割引/大人1,600円、小学生以上18歳未満1,000円(土曜日は920円)、3歳以上小学生未満700円5月5日のこどもの日は、小学生以上18歳未満1,200円⇒1,100円前編に戻る。
Photo by Dazai Yoshitaka (c) FASHION HEADLINE
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