背景は無に非ず!荒木経惟写真展「アラーキーの裸ノ顔」表参道ヒルズで開催中
そこに居るだけで絵になる
私たちは日常、人と接するとき、相手の表情からどれほどの情報を読み取っているだろう?内に秘められた悲しみ、目の奥に映る恋心、滲み出る嫉妬心…。実のところそうした感情は、いかにポーカーフェイスを装えど隠しきれるものではない。そして端々から溢れる感情に、相手の思想や過去の思い出を垣間見たとき、人は相手に強い興味を覚えるのだ。
表参道ヒルズ本館地下3階「スペースオー」にて開催中の荒木経惟写真展「男-アラーキーの裸ノ顔―」で、むきだしの心のままレンズに向かう男たち1人ひとりの“裸ノ顔”と向き合っていると、ふと、そんなイメージが浮かんでくる。
雑誌『ダ・ヴィンチ』(KADOKAWA)にて連載中の「アラーキーの裸ノ顔」書籍化にあたり開催される運びとなった同展では、北野武、王貞治、原田芳雄、山崎努、桂歌丸ら大御所から、松田龍平、染谷将太、瑛太ら若手著名人に至るまでの男たちの顔とじっくり向き合うことができるのだ。
作品背景はすべて白バック。鑑賞者のみならず荒木本人も、一切の装飾を排除した空間で、「裸ノ顔」と向き合ってきた。
「背景も被写体が作るもんだから。
俺はね、カメラを構えて“背景が出てくる”のを待ってるだけなんだよ」。