なぜ東信は新宿伊勢丹に花屋を出店したのか。世界に広げる“花の価値”
(C)AMKK(東 信、花樹研究所)
「狙いなんかないよ。ただ花の価値を高めて広げたい。伊勢丹だけでなく世界中に」東信というフラワーアーティストはとてもミステリアス。花や植物を縛ったり、凍らせたり、宇宙に飛ばしたり。挑発的で強烈な作品を見せたかと思えば、一方で品種改良の末、生まれては消えていく花の名前を記録し、アーカイブするといった側面(今春、植物図鑑の第2弾『ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS 2 』が発売された)もある。また一級のメゾンからのラブコールも耐えない。直近では東京・上野で開催されたエルメスの特別エキシビション「レザー・フォーエバー」内で、松を使った代表作「式」とバッグの世界観を一体化させた展示を実現。またMoMu-アントワープ・モード博物館(昨年はパリ装飾美術館)で開催中のドリス・ヴァン・ノッテンのインスピレーション展の「フラワー」ゾーン全体のインスタレーションを手がけた。
そして今年3月、東信にとって初の百貨店への出店となった「フラワー オブ ロマンス(FLOWER OF ROMANCE)」が伊勢丹新宿店の5階にオープンした。リビングフロアのセンターという異例の立地、新たなコンセプトのフラワーショップとして話題を集めている。そこで展開するのはブーケや、オーダーメイドのアレンジメントフラワーの受注はもちろん、本拠地「ジャルダン・デ・フルール(JARDINS des FLEURS)」では扱わないラインアップも並んでいる。フラワー オブ ロマンスの店頭には、押花や、ジャルダン・デ・フルールで展開するBottle Flowerのスモール版など、住環境に取り入れ易いようにという想いが込められた提案が散りばめられている。また、花器研究所が有田焼の工房と作った、小さな一輪挿し「涙つぼ」も今回の出店にあわせて新しく開発された商品だ。これまでの15年間近く、オートクチュールとしての花をストイックに追求してきた東が、なぜ百貨店への出店に踏み切ったのかと疑問に思う人もいるかもしれない。しかし今回の出店は東信にとって次なるステップへの序章を意味している事が、彼へのインタビューを通して見えてきた。---「花の生き死に向き合う事。
世界へ広がる、東信の“殺して生かす”フラワーアート」に続く。
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