2016年3月31日 21:00
パリコレクション俯瞰、ファッションの息遣い【2016春夏 Paris collection:横井由利】
一枚の服に目を凝らし、耳をそばだて、感触を確かめる、するとそこから波動が伝わってくる。デザイナーは、何を感じ、何を夢想し、何を提供すべきか、ときに感情の赴くまま、ときに才知にたけた判断により、完成させた服に込められた波動なのだ。Emotionmalファッションデザイナーは、絵画や音楽などにインスパイアーされたものをシーズンテーマにして、物語を紡ぎランウエィショーで発表する。その物語は、ときに恋愛がドラマチックに描かれたり、日常生活の機微がスマートに描かれており、感動的なショーはスタンディングオーベーションを受けるほどだ。ただショーの中心はあくまでも新作の服だということを忘れてはいけない、素材やデザインやコーディネート、小物使いで文脈を読みとることになるのだ。エディ・スリマンのサンローラン(Saint Laurent)には、良家のちょっと不良の女子が描かれている。ムッシュ・サンローランのミューズ、ベティ・カトゥローを彷彿させるケイト・モスをイメージし、反体制派の香りを漂わせた。ライダースの下にグラマラスなレースやスパンコールのドレスを着て挑発した。
ランバンのアルベールが描いたストーリーは、衣服礼賛、女性礼賛だった。