この作品群のキーワードは「共鳴」と「共有」である。人は決して他人と同じ体験をすることができないが、人は他者の記憶に触れたときに、不思議と自らの記憶に何かが共鳴することがあることを知っている。そして、記憶とは大概の場合、正確な時間軸を持たず、常に断片的に、無意識に蓄積されていて、そうした共鳴は自らの記憶をさかのぼるうちに不意に訪れる。本書をめくりながら、「一体ここで、何があったのだろう」「誰が、何を思ったのだろう」と他者の記憶を想像するとき、気づけば目の前の写真は、自らの記憶の中の景色を想起させている。そこには、決してぴったりとは重ならずとも、見ず知らずの人の記憶の一部を共有するという体験がある。熊本の、どこかの誰かの記憶に共感し、その一部を共有した川内が、さらに自らの記憶をそこに投影した写真群に、観る者の何が共鳴するのか、それもまた私たち一人一人に委ねられている。表紙も淡い桃色と緑色と春らしい1冊。【書籍情報】『川が私を受け入れてくれた “The river embraced me”』著者:川内倫子発行:torch pressハードカバー/A4変型/差し込みテキスト12P付き定価:2,800円
保育園で…『息子の布団』が紛失。園長「買い直して」母親「園でなくなったのに?」⇒直後、母親の”予想外の言葉”に…園長は大焦り!?