2016年8月3日 20:00
三原康裕が語る“パリからロンドンへ発表の場を移した心の内”--1/2【INTERVIEW】
要するに、これは日本でも起きた現象なんです。三島由紀夫が切腹したのは、アメリカの文化が入ってくる中で、日本特有の文化や価値観を失っていく世間や時代に警笛を鳴らしたとも言えます。ーーつまり、青年たちの反骨精神を湛えた“目線”で、今の世界を見つめ直したということでしょうか?若者は常に、何かしら世の中に反抗したいとい気持ちを持っているものです。世界情勢や経済の不安定さなど、なんとも思わずに生きていこうとしますから。僕はそういう姿勢に共感を覚えるとともに、それをコレクションで発表するということは一種の“アンチテーゼ”になり得ると思いました。コマーシャルになり過ぎてしまっている世の中やファッションに対して、疑問を呈すると言いますか。それを向こうのジャーナリストには言えなかったですけどね(笑)。アンチテーゼとは言わずに、代わりに写真家の名前だけ告げました。
でも、勘のいい人は分かっていたでしょうね。ただ、コレクションルックを見て、こういうメッセージがあるからどうのこうのっていうより、もっと直感的に面白さを感じることが重要だと思っています。そこにはいろんな比喩が隠されているけど、もっとフィジカルに感じていいと思います。