2017年3月10日 21:00
ヴィクター&ロルフ、不完全なコラージュに宿る美【2017春夏クチュール】
ヴィクター・ホスティン(Viktor Horsting)とロルフ・スノラン(Rolf Snoeren)によるヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)は、パリのパレ・ド・トーキョーを会場に、2017年春夏オートクチュールコレクションショーを開催した。コレクションタイトルは「Boulevard of Broken Dreams」。昨シーズンは、以前のコレクションで使用した素材を再利用しながら全く新しい作品に仕上げていたが、今シーズンはヴィンテージのカクテルやイブニングドレス由来の古い素材をコラージュ。1体のドレスを解体し、ばらばらにしたパーツを複数のドレスに使用しながらも、各ルックそれぞれが全く異なる雰囲気を醸しているのが興味深い。金糸刺繍の縁取りは、日本の陶磁器の修復方法である金継ぎからインスパイアされたもの。不完全に宿る美を意識しながら、オリジナルを更に美しく価値あるものに変えるものとして、今回のコレクションの方向性と共鳴している。パッチワークとアップリケを駆使したドレスは正にアーティスティックで、「着るアート」という彼等が掲げるコンセプトに合致。しかし、コンセプトに偏り過ぎることはなく、リラックス感も醸しているから不思議だ。