2018年8月5日 18:00
葛湯に浮かぶ二羽の水鳥、京都・長久堂の銘菓「鳰の浮巣」【夏の手土産】
お盆の帰省や友だち宅へのお呼ばれ、お世話になった人へお礼を込めた手土産におすすめしたい一品。
贈った相手の顔がつい、「かわいい‥」と綻んでしまう京菓子「鳰の浮巣(におのうきす)」をご紹介します。
長久堂「鳰の浮巣」6個・箱入り(1,320円)
1831(天保2)年京都に創業した、老舗の京菓子司・長久堂の銘菓「鳰の浮巣」は、鳰(にお)と呼ばれる水鳥をモチーフにした葛湯です。
京都からほど近い滋賀の琵琶湖には昔から鳰が多く生息しており、昔、琵琶湖は「鳰の海」とも呼ばれていたそうです。夏が始まる前この鳰は、水面に折枝、アシ、水草などで巣を作り、それが浮かぶ様子を松尾芭蕉が見て、「五月雨に鳰の浮巣を見に行む」と詠った歌も知られています。
長久堂の二代目・長助氏は、この鳰が夫婦つがいで風波に揺れる巣を繕いながら、めでたく雛鳥を巣立ちさせる様を葛湯で表現しました。二羽の鳰が巣のなかで寄り添っている様が描かれている、干菓子風の見た目をした葛湯。カップやお椀にそれをのせて、熱湯を八部目ほど注ぎやさしくかき混ぜると、なんとひとつがいの鳰がぷかりと浮かび上がります。
仲睦まじい二羽の鳥が水面を泳ぐ姿、その情景そのものを閉じ込めた葛湯は、微笑ましくつい見入ってしまうほどの美しさ。