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三陽商会が新ブランド「AUREME」を始動──“未来のための日常着”を科学技術館で初披露

FASHION HEADLINE
三陽商会は、新ブランド「AUREME(オーレム)」を2026年秋冬シーズンより始動します。中期経営計画における新たな成長戦略の一環として打ち出されたこのブランドは、ファッションビルやECを主販路に据え、百貨店以外の販売チャネルを強化する役割を担います。2026年9月には店舗およびECで販売を開始し、5年後には約10店舗の展開を目指します。

三陽商会が新ブランド「AUREME」を始動──“未来のための日常着”を科学技術館で初披露
Courtesy of AUREME
4月21日には、東京都千代田区・北の丸公園にある科学技術館でライブエキシビションを開催。デビューシーズンとなる2026年秋冬コレクションが初公開されました。会場では、ディレクター櫛部美佐子氏による“空気をまとい素肌に寄り添う 未来のための日常着”というコンセプトのもと、機能性とファッション性を両立したルックが、男女モデル12名によるランウェイ形式で披露されました。

「空気をまとう」ブランド AUREMEという名前は、AURA(気配・空気)とME(自分)を掛け合わせたものです。そこに込められているのは、「個の存在を、静かに際立たせる衣服」という考え方です。
流行を追うのではなく、空気の質感や身体との関係性にフォーカスし、ノイズを削ぎ落とした先に美を見出す。“静かな前衛”という言葉で示されたその姿勢は、華美な主張ではなく、日常の中に潜むモードを引き出す方向へ向かっています。

三陽商会が新ブランド「AUREME」を始動──“未来のための日常着”を科学技術館で初披露
Courtesy of AUREME
ブランドフィロソフィーでは、私たちの身体が呼吸しながら、過酷になり続ける環境にさらされているという現実に触れています。そこから導かれるのが、機能性と快適性を備えた「第2の肌」としての衣服です。AUREMEは、身体、環境、そして心に寄り添う“未来を生きるための新しい日常着”を掲げています。

三つのカテゴリーが示す設計思想 コレクションは、「FUNCTION」「DAILY USE」「COMFORTABLE」の3つのカテゴリーで構成されます。高機能素材とモードデザインを掛け合わせたFUNCTION、素材の良さと着心地、遊び心を備えたDAILY USE、そして天然素材や生分解性素材、UVカットや調温、接触冷感など快適性を前面に押し出したCOMFORTABLE。それぞれのカテゴリーが、都市生活者の異なる局面に応答する設計となっています。


三陽商会が新ブランド「AUREME」を始動──“未来のための日常着”を科学技術館で初披露
Courtesy of AUREME
特に印象的なのは、これらが単なる機能服として提示されていない点です。縫い目からの水の浸入を防ぐシームシーリングや、人間工学に基づくパターン設計、防汚、防しわ、抗菌防臭といった要素は、実用性のためだけでなく、日常の所作や身体の感覚をより自由にするための条件として組み込まれています。機能を目立たせるのではなく、生活の質感の中に沈み込ませる。その静かな設計思想に、このブランドの輪郭が見えてきます。

“未来のための日常着”を見せる場所としての科学技術館 この新ブランドの初披露の場として科学技術館が選ばれたことも象徴的でした。

1964年に開館した科学技術館は、松下清夫と平山嵩が設計した近代建築で、星形あるいは「天」の字にも見えるヒトデ型の平面構成を特徴とします。今回使用されたのは1階の展示ホールにある三角形の空間でした。モデルたちは時計回りに各辺を巡るように歩き、中央の柱まわりに設置された大型スピーカーが、会場の空気とステップのリズムを軽快に強調していました。


三陽商会が新ブランド「AUREME」を始動──“未来のための日常着”を科学技術館で初披露
Courtesy of AUREME
科学技術館という、技術と未来を象徴する場所において、“未来のための日常着”が提示されたことは偶然ではないはずです。AUREMEが目指すのは、技術性を前景化した衣服というより、生活の中に自然に浸透するハイブリッドウェアです。建築の幾何学性とランウェイの動線が交差することで、そのコンセプトは言葉以上に空間として伝わってきました。

性別を区切らない“ニュートラル”な提案 AUREMEはウィメンズを中心にしながらも、性別による境界を設けない設計を採っています。ターゲットとして掲げるのは、「心地よさを求めるすべての人」。年齢や性別に縛られず、自分に何が必要かを選び取り、グローバルな視点を持つ人に向けたニュートラルな美を提案しています。

三陽商会が新ブランド「AUREME」を始動──“未来のための日常着”を科学技術館で初披露
Courtesy of AUREME
このニュートラルさは、単なるジェンダーレスという言葉では回収しきれません。むしろ、身体や環境の変化に対して柔軟であろうとする態度そのものが、AUREMEのベースにあります。
誰かのための服というより、変化し続ける日常そのものに応答する服。その意味でこのブランドは、機能服でもコンフォートウェアでもなく、生活とモードの間を滑らかにつなぐ新しい提案として立ち上がっています。

循環という思想 AUREMEがキーワードとして掲げるのは「Circulation(循環)」です。人の身体、四季、自然、空気、水。すべては循環しているという認識のもと、濁りのない美しい循環を目指すことが、これからのスタンダードだと位置付けています。

三陽商会が新ブランド「AUREME」を始動──“未来のための日常着”を科学技術館で初披露
Courtesy of AUREME
その思想は、商品そのものだけでなく、ブランドの仕組みにも反映されています。長く着続けることを前提にした有料のリペアプログラムを導入し、服の補修を受け付けるほか、一般社団法人more treesとの取り組みを通じて、対象商品やショッピングバッグの売上の一部を森林保全活動に寄付する仕組みも用意されています。服を選ぶという行為を、自然環境を守る循環へと接続しようとする姿勢は、ブランドの思想をより立体的なものにしています。


櫛部美佐子氏が描く“静かな前衛” クリエイティブディレクションとデザインを手がける櫛部美佐子氏は、国内アパレル企業で長年にわたり、ウィメンズ・メンズブランドの企画、デザイン、ディレクションを担当してきた人物です。素材開発からプロダクト設計、ブランドコンセプトの構築まで幅広い経験を持ち、日常に根ざした上質な服づくりに取り組んできました。

三陽商会が新ブランド「AUREME」を始動──“未来のための日常着”を科学技術館で初披露
Courtesy of AUREME
AUREMEで氏が目指しているのは、強い記号性ではなく、着る人の内側にある静けさや強さを引き出す服です。会場で披露されたルックにも、その姿勢は表れていました。シャープさとやわらかさ、テクニカルな素材感と静かな色調、身体を保護するような設計と都会的な佇まい。その均衡の取り方に、このブランドが志向する“未来”が宿っていたように思えます。

三陽商会の次の一手として 三陽商会にとってAUREMEは、新ブランドという以上に、ブランドポートフォリオの再編と販路の拡張を担う存在でもあります。ファッションビルやECを中心とする販路設計、新規顧客層の獲得、そして百貨店以外でのブランド構築。
そうした経営戦略の中に置かれながらも、AUREMEは数字やチャネルだけでは語りきれない美意識を備えています。

三陽商会が新ブランド「AUREME」を始動──“未来のための日常着”を科学技術館で初披露
Courtesy of AUREME
“未来のための日常着”という言葉は抽象的にも聞こえますが、今回のライブエキシビジョンを通じて見えてきたのは、その抽象を丁寧に衣服へ落とし込もうとする意志でした。日常であること、未来を見据えること、そしてファッションであること。その三つを無理なく共存させようとするAUREMEの試みは、これからの都市生活における服のあり方を静かに問い直していくのかもしれません。

【INFORMATION】
AUREME(オーレム)
販売開始:2026年秋冬
販路:ファッションビル・EC

・ローンチスケジュール
2026年7月上旬:ブランド公式サイトオープン予定、EC予約販売スタート
2026年9月上旬:都内1店舗オープン予定、店舗・EC販売スタート

・価格帯
ウェア:¥8,800 – ¥143,000
雑貨:¥5,500 – ¥110,000

提供:

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