テーラー鈴木健次郎1/3--パリで頂点を極めた日本人【INTERVIEW】
鈴木健次郎氏
コンセルヴァトワール(パリ国立高等音楽院)があり、多くの楽器店が集中するパリ・ユーロップ(ヨーロッパの意)地区。楽器店が立ち並ぶ界隈にフランスで数少ない日本人テーラーとして活動する鈴木健次郎のアトリエ兼ブティックがある。
昨年末にはNHKでドキュメンタリー「プロフェッショナル 仕事の流儀 『パリの新風、一針の美学』 テーラー・鈴木健次郎」が放送、直後には長谷川喜美著『夢を叶える パリのタイユール 鈴木健次郎』も刊行され、各方面から脚光を浴びている鈴木。それらも含めた様々なメディアで、彼は自己の内面を語ってきてはいるが、それはあくまでもテーラー=職人として仕事について吐露したものである。流行を追わないテーラーに、ファッションの視点から質問を投げ掛けるとどのような答えが返ってくるのか。それを探るべく、アトリエ兼ブティックを訪ねた。
――トム・フォードが自身のブランドを設立した当初、フランス人男性は身なりに気を使わないのでブティックをオープンするつもりはない、と明言していたほどフランスはイギリスやイタリアに比べてメンズファッション後進国です。そんなフランスを、どうして自分のアトリエ兼ブティックをオープンさせる国に選んだのでしょうか。