テーラー鈴木健次郎2/3--作った服で評価されるパリ【INTERVIEW】
鈴木健次郎が仕立てたジャケット。ハンガーもブランドオリジナルだ
――なるほど。逆に喜びを感じた瞬間はありますか?
フランス人は服を知り尽くしている民族です。20代からオーダーメイドの服しか着ていない人もいて、そういった人は今までのオーダー数が1,000着を越えていたりもします。そんな審美眼の高い人達に認めてもらえるのが嬉しいですね。
また日本だと自分の取り巻く環境、例えば雑誌に紹介記事が載っていたり、有名メゾンで働いていたという経歴が必要なところがありますが、こっちだとそれは関係なく、アジア人だろうが外国人だろうが、作ったものが良いから注文すると言ってもらえることがあります。それがやりがいにつながりますね。
例えば顧客で、1年に45着注文してくれる人がいます。年間50着程度の製作が限界ですので、徐々に仕上げてくれればいいと言われていますが。彼はミラノ、ローマ、サヴィルロー、香港、日本など世界中で服をオーダーしている人です。その中でも一番私の服が良いと言ってくれるのは嬉しいですね。
――NHKの番組では顧客としてトマ・ロンタル氏(ファッション誌『Numero』でアーティスティックディレクターとして長年活躍し、現在はクリスチャン・ディオールやプラダなど、様々なハイブランドのキャンペーン広告を手掛けている)