新宿伊勢丹、無形文化財6代目が生み出す「江戸紅型」雑貨を販売
10月22日から28日まで、伊勢丹新宿店本館7階呉服売り場では「型小紋 三橋工房展」が開催される。これは同店が日本の伝統や文化にスポットを当てた「イセタン ジャパンセンセィズ(JAPAN SENSES)」の一環。「型小紋」とは、江戸紅型(びんがた)の型染めの技法で、独特な色使いと斬新な柄感覚が特徴だ。そもそも、紅型といえば沖縄が発祥。南国らしい鮮やかな原色で型染めされた着物は、かつては琉球王朝の王家や士族にのみ着用が許されたもの。その紅型を関東で好まれる渋好みへとアレンジし、江戸の型染め技法で染めたのが「江戸紅型」で、江戸紅型を世に広めたのが、三橋工房5代目の三橋榮三だ。しかし、今回の三橋工房展で作品を披露してくれるのは、6代目となる三橋京子。5代目の息子に嫁いだ後、夫が急死したことにより、自らが工房を引き継ぐ決意を固め、子育てしながら修行に励んだという。
あまりに根を詰めるその姿を見て義理の父も心配したというが、職人たちが寝静まった後や早朝に1人、作業場に戻りヘラで糊を置く練習をやめることはなかった。やがて努力は実を結び、伝統の小紋を現代的な色に染め変えた功績が讃えられ、江戸川区無形文化財にまで認定されることとなった彼女の紡ぎ出す作品は、眺めているだけでも陶酔感に浸れる美しさを有している。