水彩画で彩る自身の“闇”。没30周年ロベール・クートラス作品集【恵文社一乗寺店オススメBOOK】
各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週水曜日は、京都に店舗を構える、本と本にまつわるあれこれをセレクトしたショップ、恵文社一乗寺店(京都市左京区一乗寺払殿町10)がオススメする書籍を紹介します。今回は、現在東京・渋谷の松涛美術館で日本初の回顧展も開催中(3月15日まで)のローベル・クートラスの最新作品集がセレクトされています。
■「ロベール・クートラス作品集 僕のご先祖さま Mes Ancetres」岸真理子・モリア
現代のモーリス・ユトリロと呼ばれた、1930年パリ・モンパルナス出身の画家ロベール・クートラスは今年、没30周年を迎える。
所属の画廊から求められる作風を断ってからというもの、ひたすらカルトという手札大のカード画の制作に没頭したクートラス。そして、毎夜様々な題材で描き続けられたそれらを「僕の夜」と名づけた。
一連のカルトをそう呼んだように、クートラスは自身の孤独と不安の中で描いた、人物や動物の肖像画作品を「僕のご先祖さま」と名付けた。本書は、その中から絵の具のガッシュで描いた作品のみを収録した、見るものの心の深いところを震わせるような、内省的でスピリチュアルな画集。