“線”が紡ぐ森羅万象。銀座メゾンエルメスでグループ展「線を聴く」
ロジェ・カイヨワ「ラグーン」 メノウ 18 x 14 x 0.5 cm フランス国立自然史博物館蔵 ロジェ・カイ ヨワ・ストーン・コレクションより
「線を聴く」は、東京・森美術館「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」(4月25日から7月5日まで)に呼応する展覧会。会場では“線”に焦点をあてた8人の作品をグループ展形式で紹介する。
その中でも、カールステン・ニコライ、シュ・ビン、ロジェ・カイヨワの3人の作品からは、“自然の中に見出された線”というテーマを読み取ることができる。カールステン・ニコライは数式によって形成されるグリッド、線や点のズレによって生じるモアレ現象など、自然科学とその背景の構造に着目している。シュ・ビンの「バックグラウンド・ストーリー」は、採集した植物やゴミ、ガラスを用いて、ある種のだまし絵のような風景画を完成させた。また、『石が描く』で知られるフランスの批評家のロジェ・カイヨワは自身のストーンコレクションの中から、瑪瑙や大理石を切断面した際に現れる、断面の不思議な線描画を紹介している。
2組のアーティストの作品には“日常生活の中にある線”が描かれている。
その他にも線の出発点ともいえる作品が集められた。鯨津朝子によって引かれたドローイングは、独自の生命を持った有機体のように限定された空間の外へと飛び出し、壁や天井に無限の広がりを見せる。日本の建築家、アトリエ・ワンによる「マンガ・ポット」は、その名の通りのロボット型図書館。ライブラリーそのものが自由な形態や思考の回路を生み出す、シンボリックなプラットフォームとなる。また、ニエル・トロニは線を成す前の段階である点に注目し、それを30cm感覚で点描する作品を発表し続けている。
【イベント情報】
「線を聴く」展
場所:銀座メゾンエルメス フォーラム
住所:東京都中央区銀座5-4-1 8階
会期:4月24日から7月5日まで
時間:11:00から20:00まで(最終入場19:30、日曜は19:00までで最終入場は18:30)
休館日:無休
料金:無料
シュ・ビン「バックグランド・ストーリー(西山 秋の景色)」 2014 採集した植物、ゴミ、ガラス 195×500×60cmInstallation view at Tokyo Gallery + BTAP
カールステン・ニコライ「グリッド・インデックス gi-ntp-005」 2011 紙にプリント 22 x 17 cm Courtesy of Galerie EIGEN + ART Leipzig/Berlin and The Pace Gallery
高田安規子・政子「庭園迷路」 2009 タイプCプリント 26 x 34 cm
イグナシオ・ウリアルテ「累積時計」 2006 紙に鉛筆 30 ×21 cm
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