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アンリアレイジ20周年記念展覧会「A=Z」が東京・表参道で、20~23年コレクションの洋服を展示

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アンリアレイジ20周年記念展覧会「A=Z」が東京・表参道で、20~23年コレクションの洋服を展示

「アンリアレイジ(ANREALAGE)20周年記念展覧会 ANREALAGE 20TH EXHIBITION “A=Z”」が、東京・表参道のスパイラルガーデンにて、2023年6月16日(金)から7月2日(日)まで開催される。

アンリアレイジの20周年を記念する展覧会
ブランド設立20周年を記念する「アンリアレイジ20周年記念展覧会“A=Z”」は、世界中の人々が非日常的な日々を経験した「2020~2023年」の間に発表されたコレクションで構成される展覧会だ。

2020~23年発表のコレクションにフォーカス
会場では、パリコレクション全体がデジタルショーのみの開催となった21年春夏“HOME”、21年秋冬“GROUND”、22年春夏“DIMENSION”、22年秋冬“PLANET”の4シーズンに加えて、対面での開催を再開したパリコレクションでの23年春夏“A=Z”、23年秋冬“=(イコール)”など、世界中が非日常から日常を取り戻していく過程で作られた洋服を一挙紹介。

たとえば記憶に新しい“=(イコール)”では、“全く別の視点から見る世界と自分が見る世界は、決してイコールではない”という点にフォーカスし、等しく異なる世界を表現。

物事を見る際、人間は「可視光線」に、ミツバチやモンシロチョウなどは人間の眼では捉えられない「紫外線」の光に頼っていることから、特殊な材料を使用した白いコートやドレスに光を浴びせることで、色や模様を浮かび上がらせた。

“HOME”では、衣と住の境界を超えるような「家のような服。服のような家」を目指し、テントを体全体を守る家に見立て、骨格部分を外し紐を引っ張ると流麗で柔らかなシルエットを描く洋服へと変化する仕掛けを。

また“GROUND”では、天と地が逆転した際に衣服はどうなるかという点に着目し、逆立つ襟やめくれ上がるジャケットなどの裾、ショルダーや襟部分に寄せ集まる模様などを表現した。


このように、毎シーズン斬新なショーで見る者を魅了し、「日常」と「非日常」を融合、もしくは超越させるような対極的な思考を反映するアンリアレイジのコレクション。本展覧会は、そんなコレクションに登場した洋服たちを間近で鑑賞することができる特別な機会となっている。
3つのエリアで構成
会場は、3つのエリアで構成。パッチワークに原点回帰した23年春夏“A=Z”にフォーカスしたエリアでは、無数の継ぎ目が露出したルックをはじめ、様々な種類のパッチワークが施されたルックが立ち並ぶ。

壁にはアンリアレイジ20周年を記念し、2003年から2023年までのコレクションの軌跡が分かる“WALL OF THE COLLECTION LOOKS OF 20 YEARS”を掲示。20年分に及ぶルックが並ぶ様はまさに圧巻だ。

映像を活かしたルック展示
黒い幕で覆われたエリアでは、デジタルとアナログの融合を象徴するように、真っ暗な空間で光の演出が行われる。21年春夏“HOME”、21年秋冬“GROUND”、22年春夏“DIMENSION”、22年秋冬“PLANET”の4つを取り上げ、21年春夏から順にモデルがスクリーン上のランウェイを歩き、ルックが展開されていく。


それぞれ、コレクションテーマを反映させた映像が流れるのが印象的。たとえば22年秋冬“PLANET”を表す映像では、地球の6分の1の重力の中、浮遊し身体を弾ませながら真っ白な洋服に身を包んだモデルたちが右から左へと歩みを進めていく。スクリーンに登場したルックに連動して、画面の背後に展示されている洋服もライトアップされるなど、デジタルを巧みに融合させた仕掛けが用意されている。

光が色が浮かび上がるインスタレーションも
また、23年秋冬“=”に焦点を当てたエリアでは、回転する台の上にウェアを展示。ゆっくりと回転する台に乗る真っ白な洋服は、光を当てるロボットアームの前に来ると色や模様が浮かび上がる。光を浴び続けないと白く戻ってしまう仕様のため、色や模様が浮かんでは真っ白な状態へと戻るといった再生が繰り返されるような演出となっている。

デザイナー森永邦彦にインタビュー“洋服における本当の当たり前とは?”
コレクションを通して日常と非日常を融合もしくは超越させるような、対極的な思考を反映するのが得意なアンリアレイジのデザイナー・森永邦彦。ブランド誕生から20周年を記念して開催される展覧会「アンリアレイジ20周年記念展覧会“A=Z”」に際して、制作の根底にあるものや、こだわりなどについて話を伺った。


アンリアレイジでは、毎シーズン様々な仕掛けで(デジタルやアナログ、リアルやバーチャルなど)驚きをもたらすコレクションを展開していますが、そのインスピレーション源はなんでしょう?
<日常と非日常>という、相反する2つの要素がずっと自分の中のテーマになっています。日常ってごく当たり前のものではあるけれど、“ファッションや洋服における本当の当たり前”とはなんだろう?と、疑問を持つことを大切にしていて。固定観念に囚われず、身の回りに溢れることを、ひとつひとつ考えていくことが自分にとっても主題になっています。逆に自分から遠いようなテーマを設けることは、あまりないですかね。

具体的な例を教えてください。

たとえば、紫外線を浴びせることで、洋服の模様や色を浮かび上がらせた2023年秋冬コレクション“=”は、ユクスキュルの環世界の概念(※1)を表現したものですが、これは僕が“色ってどのようにできているんだろう?”という疑問からスタートしたものでした。色というのは“光の反射”が非常に関わっているらしいんですけど、光の中のいろんな波長が反射することによって、僕たちは青や赤だと識別することができるらしいんです。

そこからさらに光の反射について探求していくと、“人の目に見える波長と見えない波長”があることに辿りつきました。
つまり、人間には白が赤に変わるように見えていても、ミツバチやチョウだったり他の生物からしたら、もともと違う色で、それがピンクだったり青に見えていたりする。環世界の概念には、“すべての事象は、自分がどのように物事を見ているかに懸かっている”という哲学的なテーマを感じ、コレクションで表現しようと思いついたのです。

(※1)ヤーコプ・フォン・ユクスキュルが提唱した生物学の概念。すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、それを主体として行動しているという考え。

とても壮大なテーマなんですね。生物が世界をどのようにして見ているかという観点に着目した写真作品やアートは数多くありますが、ファッションに落とし込む上で難航した点は?

やはり着る人によって形も変わりますし、またその人がどこにいるかで色に変化があるという点ですかね。暗いところと明るいところにいる時では、見え方が変わるように。けれど、それこそがより環世界に親和性のあるものだとも感じています。


2023年秋冬コレクション“=”のランウェイにはない、今回の展覧会ならではの演出のこだわりは?

今回の会場となるスパイラルガーデンの「スパイラル」というワードは“螺旋”を表していて、この空間のスパイラル自体と、“=”で表現した洋服の色の移ろいなどコレクションが持つ意味を上手く調和できることに気が付きました。中央のウェアが並んだ台がずっと回り続ける中で、色があらわれて、また消えて真っ白に戻り、そしてまた色が現れて…というこの演出は、この会場だからこそ作れたもの。またそこには、再生を繰り返すファッションとしての意味合いや、アンリアレイジが進んでいきながらも、またブランドの原点を通っていくというメタファーも表現しています。

今まで見たことがない、ユニークかつ素敵な演出でした…!

ありがとうございます。そして種明かしをすると、実は“=”の服は本当は紫外線は必要なくて、太陽光のもとでも色が変わるっていう洋服なんです。でも室内では、太陽光の紫外線を当てないと色が変化しないので機械を用いて光を当ててるんですけど。

ここで面白いのは、ここで使ってる紫外線っていうのは一定の波長を出しているため、“本当の太陽の光”の下では、また違う見え方をするということ。当たり前ではあるのですが、太陽光は日ごとはもちろん、国や季節によっても波長が異なるので、毎日絶妙に異なる表情を洋服から伺うことが出来るという仕組みが隠されているのです。


洋服というより“アート”の領域ですね…!こういったアプローチは、20年間のブランドの軌跡の中でも、常に根底にあるものなのでしょうか?

そうですね。この20年間、僕の中では<日常・非日常>という大きなテーマは常にあるのですが、そこから生まれるシーズンごとのテーマを、どのように楽しく魅せるか?ということも大切にしています。

最後となりますが、展覧会を通して伝えたいことはなんでしょう?

入場無料の展覧会なので、ぜひ肉眼で色が変わるのを見るという体験をしてほしいです。目の前で色が変わるというのは、画面では伝わりきらないと思うので。

またブランドが築き上げてきた20年の中で、変わる部分と変わらない部分があって。洋服は変わってきてるけど、根底にある変わらない思想も、展覧会を通して感じてもらえたらと思います。

オリジナルグッズを販売
なお、会場ではオリジナルグッズや書籍、“光で色が変わる”バッグやバッジなどを販売。アイテムもあわせてアンリアレイジの世界観を楽しめるようになっている。


展覧会概要
「アンリアレイジ20周年記念展覧会“A=Z”」
会期:2023年6月16日(金)~7月2日(日)
会場:スパイラルガーデン
住所:東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1F
入場料:無料

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