2023年12月7日 10:35
バレンシアガ 2024年夏コレクション - 衣服における“パーソナルなもの”
バレンシアガ(BALENCIAGA)の2024年夏コレクションが発表された。
モードが立ち現れるところ
深紅のベルベットがドレープを織りなす「劇場」を舞台に披露された、今季のバレンシアガ。そのキーワードは、「パーソナル」であるという。それはたとえば、1つ目のルックでカーコートをまとって登場するのがアーティスティック・ディレクターのデムナ自身の母親であり、最後にウエディングドレスの中に包まれるのがデムナの夫であるという、直接的な部分にまず見てとれる。
コレクションという広く発表されるもののなかにおける、パーソナルなもの。そこに補助線を引くために、19世紀フランスの詩人シャルル・ボードレールが、同時代の画家コンスタンタン・ギースを論じた1節を引用することも、無益ではあるまい──「彼〔ギース〕の目ざすところは、流行(モード)が歴史的なものの裡に含み得る詩的なものを、流行の中から取り出すこと、一時的なものから永遠なるものを抽出することなのだ」。
「歴史的なもの」、つまり時代それぞれに特有なものから、「詩的なもの」を引き出すこと。あるいは、「永遠なるもの」が現れる場としての「一時的なもの」。