くらし情報『映画『美と殺戮のすべて』写真家ナン・ゴールディンと巨大資本との闘い、彼女の人生を辿るドキュメンタリー』

2024年1月21日 19:05

映画『美と殺戮のすべて』写真家ナン・ゴールディンと巨大資本との闘い、彼女の人生を辿るドキュメンタリー

その後復帰したゴールディンは、オキシコンチンを販売しているのがパーデュー・ファーマ社であることや、その背景に会社を所有するサックラー家がいることを知る。

巨大な資本を相手に声を上げ、戦うことを決意した彼女は、2018年3月10日、多くの仲間たちとと共にニューヨークのメトロポリタン美術館を訪れる。彼女たちは、製薬会社を営むサックラー家が多額の寄付をしたことでその名を冠された展示スペース「サックラー・ウィング」を目指して歩みを進め、到着すると「サックラー家は人殺しの一族だ!」と口々に声を上げながら、「オキシコンチン」という鎮痛剤のラベルが貼られた薬品の容器を一斉に放り投げたのであった。

この抗議活動の中で彼女たちが放り投げた「オキシコンチン」とは、「オピオイド鎮痛薬」の一種であり、全米で50万人以上が死亡する原因になったとされる“合法的な麻薬”だ。その「オキシコンチン」を大量に売りつけていたサックラー家に対して、一家とかかわりの深い美術館や大学を通して抗議し、アーティストとして活動してきた強みを活かしながら声を上げ続けた。『美と殺戮のすべて』の作中では、彼女がなぜ戦うことを決意したのかに加えて、大切な人たちとの出会いと別れ、アーティストである前に一人の人間として彼女が歩んできた道のりを明らかにする。

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