ドレスドアンドレスド 2025年春夏コレクション - 水と記憶
ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2025年春夏コレクションが発表された。テーマは「SOME WOMEN」。
それは自分か、それは他者か
あるいは、「記憶」と言ったほうがいいかもしれない。しかし、それは誰の?──今季のドレスドアンドレスドの「ルック」──カラーとモノトーンの2枚1組による12組──には、4人の女性のモデルが登場している。彼女たちは、それぞれに自らの記憶を語る。自分のなかに残ってやまない夢のこと、自らの故郷の風景のこと、あるいは自分で手繰り寄せられる、いちばん古い記憶のこと──4人の記憶はそれぞれに異なるけれども、それらはどこか、ドレスドアンドレスドのデザイナー、北澤武志の記憶に近しいものでもあったという。
一連のルックを構成する、12枚の白黒写真。ひとりひとりが示す記憶の身振りは、だから、不思議とひとつの物語を紬ぎだすように思えてくる。
その物語の流れは、デザイナー北澤の記憶かもしれない。逆に、北澤の記憶は、ほかの人の記憶と響きあうものかもしれない。自分を織りなすはずの記憶が他人のものでもありうる、この非人称性──いわば、明確な形を結ばない水のような流動性から、自己を浮かびあがらせてゆくことが、ドレスドアンドレスドの衣服にほかならない。