アンリアレイジ 2017年秋冬コレクション - 時間を重ね宿した記憶、削れば浮かび上がる洋服の可能性
アンリアレイジ(ANREALAGE)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク初日の2017年2月28日(火)に発表した。
周り続け転換の多いファッションの世界。その姿を木の年輪に例えた今シーズンのテーマは「Roll」。コレクションの真髄を象徴的に切り取ったのは、彫刻家・名和晃平 / SANDWICHとの協業による2体である。
本来、洋服はロール状に巻かれた布を引っ張り出し裁断して作るものだが、今回はこの発想からは脱し、ロール状態のままの布から洋服の形を作り出した。巻かれたデニムは300メートルにも及び、これをドリルを装着したロボットアームによって削り出す。3D技術を取り入れながら逆転の発想で生まれたドレスは、彫刻のように硬質でありながらも波のような流れるラインが描かれている。テクスチャーは重層的で、同時に歳月の重なりを語りかけてくる木々のような温かみがある。
この2ピースの登場から始まったショー。会場中央には、このデニムドレス制作時に出た切削屑で作られた青い海が広がっていた。この海を囲むようにランウェイを歩くモデルたち。続くのは、オーガンザリボンテープが幾重にも巻かれ、木の幹のような円柱型をしたフェミニンなドレスであった。
その後は、ここ数シーズンとは異なり、シティに馴染むパンツやドレスといった‟着られる=Ready to wear”が並んだ。年輪柄のニットドレス、レーザー加工で年輪模様を焼き付けたデニムワイドパンツ、1本のテープ状の布をジップやボタンで巻き付け作り出したドレス。
ユニークなのは、フェルト地を99枚も重ねたグレーのドレス。ロール状にしたフェルトをドレープの陰影が出るように作り上げたもので、3D技術によって仕上げた、技術力の塊のようなピースである。
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