「ミュシャ展」静岡市美術館で開催 - アール・ヌーヴォーの旗手、初期から晩年まで約250点
「ミュシャ展 ~運命の女たち~」が、静岡市美術館にて2018年6月2日(土)から7月15日(日)まで開催される。
ミュシャの作品を彩った女性たちに焦点をあて、彼の芸術人生を辿る
ヨーロッパで起こった芸術運動アール・ヌーヴォーの旗手として知られるアルフォンス・ミュシャ。数多くの女性像を優美に繊細な表現で描き出す彼の作品は、ミュシャ様式とも呼ばれ、アール・ヌーヴォーの代名詞ともいえる。
本展では、ミュシャと同郷の医師ズデニェク・チマル博士の親子3代にわたる膨大なコレクションから、リトグラフのポスターや装飾パネル、素描、挿絵原画、油彩画など約150点を厳選。「運命の女たち」というタイトルの通り、初恋に始まり、栄華を極めたパリ時代、そして晩年に至るまでミュシャの作品を彩った女性たちに焦点をあてミュシャの芸術活動を追う。
第1章 幼少期、芸術のはじまり
第1章では、ミュシャの初期の素描、城館の装飾デザインなどを展示。併せて、彼と交流のあった女性にまつわる作品を紹介する。中でも、早世した初恋の人・ユリエ・フィアロヴァー(愛称:ユリンカ)の面影は、後々までミュシャに影響を与え、作品の中へ投影されている。
その他、義姉、妹、そして幼馴染の少女テレザ・トラプルらとの交流が、美しい女性を描く彼の芸術人生に大きな影響を与えたという。
第2章 パリ、転機が訪れ人生の絶頂期に
1887年、パリに出たミュシャは、挿絵の仕事で生計を立てるようになる。第2章で紹介されるのはパリ時代の作品だ。『おばあさんのお話』で描いた45枚の挿絵によって彼の人気に火がつき、そして『ドイツ史の諸場面とエピソード』で歴史画シリーズを手がけたことが、代表作である《スラヴ叙事詩》へとつながっていく。
このほか様々な雑誌に挿絵を寄せていたミュシャだが、そうした中で大女優サラ・ベルナールとの出会いが転機となった。彼女の舞台《ジスモンダ》のポスターが大反響を得たのだ。その後6年間にわたりサラと契約を結び、ポスターに加えて舞台装飾などのデザインも手がけるようになった。こうして完成した女性の優美な佇まいと独創的な模様を組み合わせた「ミュシャ様式」は、アール・ヌーヴォーの中で重要な位置を占めるようになった。
第3章 アメリカ、表紙絵や商品パッケージなど新たな道の発見
パリ時代から晩年への過渡期にあたる、アメリカ時代の作品が集う第3章。アメリカの大手雑誌社『ハースツ』の表紙絵や商品のパッケージなどのデザインも手掛けた。こうした渡米先の仕事には、すでにパリ時代から構想を抱きはじめていたという《スラヴ叙事詩》制作の実現化に向けて、十分な費用を準備するという目的があった。
第4章 故郷への帰国と祖国に捧げた作品群
第4章では後半生、ミュシャの故郷への思いにあふれた作品群を並べる。晩年は、帰郷後もポスターや貨幣のデザインをしていたが、作品に描かれる女性は、アール・ヌーヴォー期を彷彿とさせるものの、より民族主義的な雰囲気をたたえるものが多く存在する。そしてこの晩年の大作として知られる全20点からなる《スラヴ叙事詩》を仕上げるために奔走したという。ミュシャの後半生は、スラヴ民族とその文化へ身を捧げるものであった。
世界屈指のミュシャコレクター厳選の約100点も静岡展特別出品
世界一のミュシャコレクターであった今は亡き土居君雄のもと、長年ヨーロッパに在住し、ミュシャ作品を収集、コレクションの形成に携わった尾形寿行。
尾形は、土居亡き後にその遺志を継ぎ、ミュシャ作品の世界的な収集家として知られている。
本展では、尾形の厳選したミュシャ作品から、アール・ヌーヴォーのパターンの教科書とされる『装飾資料集』全72点を含む約100点を静岡展のみ特別に展示する。
【詳細】
ミュシャ展 ~運命の女たち~
期間:2018年6月2日(土)~7月15日(日)
場所:静岡市美術館
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー 3F
休館日:毎週月曜日
開館時間:10:00~19:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般1,000(800)円、大高生・70歳以上700(500)円、中学生以下無料
※()内は前売および当日に限り20名以上の団体料金
※障がい者手帳等を持参の場合介助者原則1名は無料。
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