【『最愛』感想 最終話】記憶と幸福をめぐる物語・ネタバレあり
Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2021年秋スタートのテレビドラマ『最愛』(TBS系)の見どころを連載していきます。
人が人を好きになる物語と同じように、人が人を殺してしまう物語に私たちが夢中になってしまうのはなぜだろう。恋の話はハッピーだけれども、人が死ぬ傷ましくて悲しい物語にこんなに惹かれてしまうのはなぜだろう。
それはプライオリティ、人生の優先順位の究極の形だからなのだと思う。
人生に、他人の生命と引き換えてしまうほどの欲望、理由はあるか。人の死で始まるクライムサスペンスに見入る時、私たちは無意識にその答えを探しながら見つめている。
そして、それを覆い隠しながら生きていく人生に後悔はないのか。
大きな秘密を抱えて生きる長いその苦しみは堪え難くはないのか。
『最愛』(TBS金曜日22時主演・吉高由里子)は、その答えを見つめる物語だった。
連続ドラマとしてのサスペンスは、実は難しいカテゴリだと思う。
序盤から少しずつ提示される情報の連続性を含めて楽しむ以上、「面白そうだから途中からでもちょっと見てみよう」