【『ファイトソング』感想・1話】ハードモードな一人の人生と、ただ一つの歌
Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2022年1月スタートのテレビドラマ『ファイトソング』(TBS系)の見どころを連載していきます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
名作ドラマの恋は往々にしてどん底で始まる。
例えば結婚式当日に婚約者が失踪したり(1996年『ロング・バケーション』フジテレビ系)、就職難から派遣社員として働いていたのがその上に派遣切りにあったり(2016年『逃げるは恥だが役に立つ』TBS系)。
今作『ファイトソング』(TBS系火曜22時主演・清原果耶)のヒロイン・木皿花枝もまた、どん底である。
しかもピンポイントで「今どん底になりました」という設定ではない。どん底が長期間続いていて、すでに固定化したどん底である。
児童養護施設で育った花枝は、空手の才能と負けん気と努力で、一度はオリンピックも狙える日本代表になろうというところまで来たものの、交通事故でその夢を絶たれてしまう。
薄幸な少女が努力で栄光を掴むという『物語』から逸脱した上に、その後に別の道を目指して立ち直ることも出来ず、事故当初は「かわいそう」