2022年5月1日 10:00
アナログとデジタル、互いに発見が生まれたとき、進化し合えるのではないか
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
紙とインクとスマートフォン
紙の匂い。新しいノートを開いたとき、紙の乾いた匂いがふっと空気に触れて消えていく。その瞬間が好きです。
紙質がよくなったからなのか最近ではあまり感じることはありませんが、それはインクを吸い込む前のまっさらな紙の息遣いのようです。
小学生のとき、本の匂いについて作文を書いたことを思い出しました。『小さな目』という小学生が書いた詩集が好きで、机の上に置いて何度も読み返したものです。
自分と同じ年頃の小学生の詩は、教科書に載っている詩よりも心に入って来たのです。
「本を開くと、ぷーんと卵色の紙の匂い……」
半世紀以上も前の作文の、こんな出だしも思い出しました。
週に一コマ担当している音楽大学の授業は、この4月から対面授業になりました。