2022年5月2日 15:51
【『インビジブル』感想3話】 孤独の静寂が磨く輝き
その神秘性を支えているものについて考えたときに、ふと柴咲が主演をつとめたNHK大河ドラマ『おんな城主直虎』最終回で、明智の遺児の命を守るために主人公直虎が、「自分は子を産んでいないからこそ、どの子も等しく愛おしい、だからこの子は渡せない」と語った場面を思い出す。
誰のものでもないから誰もを愛せる。きらめく理想の言葉の下に、他者には見えない果てのない孤独がある。
冬の夜の空気の中で星がひときわ輝くように、冴えた孤独のなかにこそ際立つ美しさもまたあると思う。
柴咲コウの魅力は、そんな美しさの体現だと思っている。
今作の面白さの一つに、普段はソフトな人物の役柄の印象が強い高橋一生の激しいアクションシーンがあるが、今作のアクションはかなり泥臭く、それが独特の面白さに繋がっている。
違法捜査を繰り返す志村は、銃の所持が許可されておらず、それゆえに小麦粉を粉塵爆発させたり、プールに高圧電流を流したりして武装した犯罪者と戦うことになるのだが、とにかく転げまわり、うめき、文句を言い、知恵を絞って走り回る。
いわゆる激しく打ち合うようなかっこいいアクションではないけれども、くせになりそうな面白さで、個人的には早くも3回目にしてお約束の楽しみになってきている。