【『初恋の悪魔』感想8話】離れても健やかにという祈り・ネタバレあり
Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2022年7月スタートのテレビドラマ『初恋の悪魔』(日本テレビ系)の見どころを連載していきます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
仕事絡みの知人が亡くなって通夜に行く。ご親族に挨拶をするけれども、その人について語れる思い出は多くないから、少し居心地が悪い。
外に出て会葬のお礼状を読み、こんな人だったのかと驚く。書かれた趣味や家族への愛情は職場で見た印象とは随分違う。人ってやっぱり複雑なものだなと思う。
スマホの手がかりから兄・馬淵朝陽(毎熊克哉)の意外な生前の姿を追っていく悠日(仲野太賀)の姿を見ていて、ふとそんな自分の最近のほろ苦い思いが浮かんでくる。
悠日がスマートなエリートだと思っていた兄・朝陽は、『七転び八起き』という言葉を必死で抱きしめて生きていた。弱さも悩みも、悠日の知っている朝陽とは違っていた。
脚本家・坂元裕二の紡ぐ言葉はフィクションの中からするっと這い出してきて、見ている私たちの人生に忍び込んでくる。
一度箱に詰めた過去の感情が、軽妙なセリフや磨き抜かれた言葉が鍵になって不意に開く。