【『ラストマン』感想1話】福山雅治と大泉洋、双璧で魅せる疾走感・写真全41枚
とりわけ運転・歩行・走行といった身体の移動のハンデは大きい。
その欠落の部分こそが他の刑事ドラマとの違いであり、物語全体に常に心地よい緊張の糸を張る。
個人的に今回最もゾクゾクしたのは、皆実が爆弾を作った犯人・渋谷英輔(宮沢氷魚)と対峙し、銃を向けられながらも距離を詰めていくシーンだった。
イヤホン越しに止めようとする心太朗を制し、「チャンスは今しかありません」と犯人に向かい合う瞬間、皆実はにっこりと完璧な作り笑いを見せる。
ミュージシャンとしての魅力、俳優としての魅力、極上のトークも、ユーモアも寛容さも、何もかも持ち合わせている彼を見るたびに、「この人の内面は一体どこからどこまで『福山雅治』という存在なんだろう」と、畏怖に近い気持ちになる。
演じる本人へのそんな憧れとシンクロするように、皆実の完璧な笑顔にしびれた瞬間だった。
そして、皆実の超人めいた存在をリアリティとして物語に繋ぎとめるのは、実は護道心太朗を演じる大泉洋の『渋い顔』だと思う。
人たらしの魅力に必死で抗い文句を言いつつ、それでもついていく心太朗の右往左往が、皆実を単調な超人、聖人君子にしない。
それこそ、日本一『右往左往が絵になる男』大泉洋の、魅力の本領発揮だろう。