【『ラストマン』感想 最終話】福山雅治と大泉洋、2人の人たらしの越境と回帰
二人は捜査を進めるが、関係者が殺害され、ともに事件を追っていた心太朗の甥の泉(永瀬廉)が刺され、不穏な動きが襲いかかる。
ここまでにも、ドラマの中で絶妙な『点』があちこちに置かれていた。
心太朗の父・鎌田國士(津田健次郎)は冤罪ではないか、皆実と心太朗は実は血縁ではないか、冤罪には心太朗の養父・護道清二(寺尾聰)が関わっているのではないか。
それらの結果はどれも私たち視聴者の『予想通り』ではあったけれども、その深層にあった因果ははるかに予想を超えていた。
しかし思えば、ドラマが始まってからずっと一話完結のエピソードの中で、それらの芽はあったように思う。冤罪とメディアを描く2話(女性連続殺人)、罪と失うもののバランスを問う3話(俳優殺人)。
料理や食がどれだけ人生の反映であるかの5話(インフルエンサー殺人)、親は子のためにどんな犠牲をも負うと描く6話(別荘立てこもり)、そして男女の真実は傍目には分からないと描いた7話(後妻業殺人)。
そして幾つかの事件が、一見組織的な犯罪や政治的な主張の動機に見えて、実はもっと人の身体に近い情動的な動機で起きたものだという描き方も、どれも41年前の『はじまりの事件』の反影のようだ。