【『ラストマン』感想 最終話】福山雅治と大泉洋、2人の人たらしの越境と回帰
張り詰めた最終話の中でも、皆実の人たらしと振り回される心太朗の魅力は健在で、中でも捜査に来た料亭に芸者を呼んで、楽しそうに踊る皆実と呆れつつキレキレの突っ込みを入れる心太朗の場面は、福山雅治・大泉洋ならではの楽しさだった。芸者と遊んでも少しも下品にならず愛おしい福山雅治と、思わず尻文字に合わせて首を振りつつも矢継ぎ早に突っ込む大泉洋の可笑しさに、本当にこの二人のバディを見られた三ヶ月、楽しかったと感慨深かった。
吾妻(今田美桜)への想いが空振り中だった泉は、ようやく二人の食事にこぎつける。
しかしどうやらまだデートではないようで、それでも半歩、確かに前進。
佐久良(吉田羊)と心太朗は、互いに素直になれないが「私が好きな護道心太朗はそんなふぬけじゃない!」、佐久良の叱咤は『好きだった』の過去形じゃなくて現在形ということで、こちらも多分、半歩前進。
そしてバディであり兄弟でもある二人は、互いの舌に残る肉じゃがの記憶で、幼すぎて覚えていない家族団らんの時間に想いを馳せる。
母の味の肉じゃがを、赤子だったはずの弟は覚えていた。それが今は亡くなり、言葉も聞けない両親の幸福を信じる確かな手がかりとして残る。