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「無言の圧を感じる…」 住民のリサイクルに絶大な効果を生んだ『可燃ゴミ』の名前が?

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主に工場で燃やすことができる『可燃ゴミ』。

名称は自治体によって異なりますが、『燃やせるゴミ』や『燃やすゴミ』などと呼ばれるケースが一般的です。

日常生活の中では、ゴミ袋や集積所の案内板などで、可燃ゴミの名称を目にする機会は多いでしょう。

ごみ袋の写真(撮影:grape編集部)
撮影:grape編集部

身近な可燃ゴミの中には、分別すれば資源として再利用できるモノも。

例えば、汚れの少ない新聞紙や雑誌、紙袋などが挙げられます。ですが、分別してリサイクルができることを知らない人も少なくないのではないでしょうか。

紙類の写真(撮影:grape編集部)
撮影:grape編集部

実は全国を見渡すと、住民の分別意識を高めようと、可燃ゴミの呼び方を見直した自治体があるのです!

grapeは、可燃ゴミを独自の名称に変更した2市を取材。「クセが強すぎる」と反響を呼んだ名前に込めた思いや、効果などを聞きました!

自然豊かな亀岡市「圧を感じる」と話題のゴミの名称が…


まず話を聞いたのが、京都府亀岡市。
豊かな自然環境があり、迫力満点の体験ができる『保津川下り』や、トロッコ列車などで知られます。

2025年10月現在、SNS上で拡散された同市のゴミの名称が、改めて脚光を浴びているのです。

可燃ゴミだけでなく、燃やすのが難しい『埋立てゴミ』の名称も独特。「無言の圧が感じられる」「リサイクルしたい思いがひしひしと伝わる」「これは分別したくなる」といった声が上がっています。

どんな名称かというと…。実際に使われているゴミ袋を見てお確かめください。

京都府亀岡市のゴミ袋の写真
提供:亀岡市

『燃やすしかないごみ』と『埋立てるしかないごみ』…!

「しかない」という言葉からは、「リサイクルや再利用ができない、最終処分のゴミである」ことを伝えたい同市の強い思いが伝わるでしょう。

同市では、ゴミの名称を2023年4月に変更。
『燃やすごみ』を『燃やすしかないごみ』に、『埋立てごみ』を『埋立てるしかないごみ』に改称したのです。

同市の担当者に、ゴミの名前を変えた狙いを聞くと、次のように答えてくれました。同じ時期に実施した『分別区分拡大』に合わせて変更したんです。『分別区分拡大』では『燃やすごみ』から紙や草、木類を、『埋立てごみ』から製品プラスチックと金属類を分けました。

「しかない」という言葉には、「可能な限り、資源ゴミを分別することを徹底していただきたい」という市民へのメッセージを込めています。

ゴミの名称変更と『分別区分拡大』は、後の世代に負担をかけない『循環型社会』の実現に向けた取り組みの一環といいます。

ゴミ箱の写真(撮影:grape編集部)
撮影:grape編集部

同市は『環境先進都市』を掲げており、まち全体でリサイクルに取り組む熱意が伝わりますよね。

ゴミの名称変更後の効果については、このような回答がありました。


ゴミの名称変更は『分別区分拡大』と合わせて行ったため、一概には言えないのですが、可燃ゴミと不燃ゴミの量がともに減り、反対に資源ゴミは増加しました。

なんと、目に見えて効果があったといいます!

同市の熱い思いを受けた市民が、前向きに分別に取り組んだことがうかがえますよね。

ちなみに、同市のゴミ袋の素材の一部には、分別後にリサイクルされたプラスチックゴミを使用しているそう。まさに、市民一体で取り組んだゴミの分別が結実した象徴と言えるでしょう。

ユニークなゴミの名称で注目を集めた同市。実は、ほぼ同じ時期に、四国でも一風変わったゴミの名称を採用したまちがあったのです…!

ゴミの名称で多くの人の度肝を抜いた四国のまちが…

亀岡市と同様に、一風変わったゴミの名称を採用したまちは、徳島県徳島市。なんといっても、日本三大盆踊りの1つである『阿波踊り』が有名でしょう。

同市では『燃やすごみ』の名称を2023年5月に変更。


想像のななめ上をいくネーミングに、当時のSNS上では「笑った。思わず二度見したわ」「エイプリルフールはもう終わっているのに…」といった驚きの声が相次ぎました。

多くの人の度肝を抜いた名称がというと…。同市のキャラクターが、ユニークな名称をPRするイラストをご覧ください。

徳島市のキャラクターのイラストの写真
提供:徳島市

『分別頑張ったんやけど、燃やすしかないごみ』

徳島の方言を生かしたセリフのような名前に、思わず笑いがこみあげてきませんか。「頑張ったんやけど」という話し言葉による表現が斬新で、印象に残りやすいですよね…!

取材に応じた同市の担当者によると、ユニークなゴミの名称を考案した背景には、ゴミの排出状況の課題があったといいます。

徳島の家庭から出るゴミとして最も多い『燃やすごみ』の中には、資源として再利用できる紙類が多く含まれている状況でした。

このことに着目し、市民の分別意識を高め、ゴミの減量と資源の再利用を図ることを目的として、名称を変更しました。


当時の燃やすゴミの中にリサイクル可能な紙類が多い状況を打破しようと、インパクトが強い名称に変更したのですね。

燃やすゴミの名称を変更した効果は絶大。名称変更後の2024年度は、変更前の2022年度と比べて、紙類のゴミの量が14%も減ったのです!

徳島市の家庭ごみ収集日程表の写真
徳島市の家庭ごみ収集日程表提供:徳島市

紙類のゴミの出し方に関する、市民からの問い合わせも増えたといいます。

全国的にも注目されたゴミの名称変更は、市民に分別について考えるきっかけをもたらしたのかもしれませんね。

雑紙の写真(撮影:grape編集部)
撮影:grape編集部

今回紹介した2市以外にも、ユニークなゴミの名前を採用する自治体はじわじわと増加中。人々のゴミの分別への関心の高まりが期待できるでしょう。

環境問題に関係が深いゴミに関する2市の取り組みは、名前を変えるだけで、市民の日常に新たな視点が生まれた好例ではないでしょうか。

ちょっとしたユーモアや工夫が、人々の意識を動かし、まちの未来を変えていくのかもしれませんね…!

[文・構成・取材/grape編集部]

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