【考察】「楽なんだよね」にゾッ… スーパークレイジーな人だらけ『夫に間違いありません』第2話
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、イラストレーターの渡辺裕子(@satohi11)さん。
2026年1月スタートのテレビドラマ『夫に間違いありません』(フジテレビ系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
渡辺裕子さんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
聖子(松下奈緒)に近づいてきた瑠美子(白宮みずほ)。
彼女は、死んだとされている聖子の夫・一樹(安田顕)とさっきまで一緒にいたと話し、その上、一樹が行方不明だった一年前にふたりで暮らしていたと言う。
聖子が問いただすと、一樹は少しの間世話になっていただけだと釈明し、彼女とはもう会わないと約束する。
一方、夫だと間違えてしまった遺体は、「実は紗春(桜井ユキ)の行方不明の夫なのでは…」と疑っている聖子。
紗春を避けようとするが、人懐っこい彼女に娘の希美(磯村アメリ)を預けられてしまい、聖子の子どもたち・栄大(山崎真斗)と亜季(吉本実由)は希美と仲良くなる。
しかしその頃栄大は、同級生の藤木(二井景彪)からたびたび嫌がらせを受けていることを聖子には言わないでいた。藤木は栄大を不登校にして、高校の推薦枠を奪い取ろうとしているのだ。
そして聖子の弟・光聖(中村海人)から結婚したい相手と紹介された恋人・まゆ(松井玲奈)の母親は、国会議員の九条ゆり(余貴美子)で…。
スーパークレイジーな人物が登場
一樹のことを「ズッキーズッキー」とくりかえし瑠美子が呼ぶので、私も脳内で一樹を「ズッキー」と呼ぶようになってきた第二話。
第一話でズッキーのクズっぷりをたっぷり見せつけられ、さすがにあれ以上ひどいことはもうないだろうと思ったのに、ズッキーのクズエピソードがまだわいてくる。
行方不明になった時に300万円も銀行からおろしていたなんて、店の借金を抱えた家族のことをなんとも思わなかったんだろうか…。
聖子に瑠美子とのことを問い詰められ、たまたま会ったなどと嘘を重ねてなんとかごまかそうとするところも、あまりに人として小さすぎる。
そして言うに事欠いて…。
「それに…楽だったんだよ」
これはひどい。
家族5人での生活から、若い女の子とのなんの責任も取らなくていい暮らしへ逃げたズッキーが、残されたすべてを引き受けるしかなかった聖子に言うのはクズすぎる。
「君との暮らしは楽じゃなかった」って言ってるのと同じではないか。こんな男、見捨てればいいのに…。
なのに秘密を知った瑠美子に脅されたと言うズッキーにだまされて、500万円払おうとしている聖子、どうかしている。そしてズッキーはクズオブクズ。
しかし今回、ズッキーのクズさへの呆れがちょっと薄らぐほど、聖子の周りの人々がすべてクレイジーに見えてきた。
まずは、聖子の弟・光聖。いい弟だと思っていたのだが…。
「妊娠7ヶ月にもなる恋人と、まだ結婚もせずに同棲中」
「恋人の母が国会議員であることを、姉に会わせるまで内緒にしていた」
「聖子のおでん屋が忙しい時間帯に、忙しそうだなと言いながらおでんをごちそうされている」
などなど、「ちょっと君はおかしくないか?」とお説教したくなる言動がたっぷり出てきた。
特にひっかかったのが、恋人を説明する時の言葉。
「一緒にいて肩ひじ張らなくていいっていうか、楽なんだよね」
ズッキーもそうなんだけど、誰かと一緒にいる時に『楽』って思えるのは、そう感じるように相手が気を配り、甘えさせてあげてるんだと思う。
そしてズッキーや光聖のような人たちは、甘えられる相手を見つけるのがうまい。今のズッキーは、瑠美子から聖子へと甘えの先を変えただけ。
聖子に甘えるクレイジーな人としては、紗春も同じ。
この前知り合ったばかりの聖子に、もう2回も娘を預けている。
だがもしかして紗春は、聖子にただ甘えているのではなく、実はズッキーのことを知っていて近づいたのではないだろうか?
子ども2人がいる家庭にお礼として持っていくには合わない気がする最中、しかしこれはズッキーの好物なのだ。
聖子がズッキーのところへ差し入れることまで計算していたとしたら…彼女の後をつけるくらい、しているかもしれない。そして気になるのは、紗春と希美の母娘関係。スタスタと早歩きで進む紗春を必死で追いかける希美の姿、なんとなく不安…。
他にも、無言で食べてしまいそうなカニ料理の店を、じっくり会話すべき家族顔合わせの席に指定する九条議員もクレイジーだし、そこに押しかける天童記者(宮沢氷魚)もクレイジーだし、そんな彼の手をカニ用のフォークで突き刺す九条議員はスーパークレイジー。
今のところまともな人間は、息子の栄大くらいでは。いちばん聖子に甘えるべき立場の彼だけが、聖子に甘えようとしないのが、かわいそうではある。
しかし、そんな甘えない彼の周りは障害物でいっぱいだ。愛情があるけれどいちいち間違ってしまう弱い母親、そしてずるくて逃げがちな弱い父親。
ヘンゼルとグレーテルを捨てた父について、栄大は「悪いっていうか、弱い人間」と評した。
彼は今後、その『弱い人間』たちを切り捨てて自分の道を進むことができるのか。彼らの中に存在する『愛』に縛られ、苦しむのか。
彼が退治すべき悪い魔女は誰なのか。できたら彼ら子どもたちだけでも、幸せになってほしいのだが。
[文/渡辺裕子構成/grape編集部]
渡辺裕子
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