【考察】2人を演じ分ける鈴木亮平の真骨頂 料理が演出した冬橋の背景とは『リブート』第5話
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2026年1月スタートのテレビドラマ『リブート』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
これまでも何度かこのレビューで述べてきたが、ドラマ『リブート』(TBS系)では、どんなに人格を偽ろうとも『舌』は変えられないことを描いている。
食べるという行為は突き詰めれば他の生物を喰らうということであり、人生における食の記憶は極めてパーソナルなものだ。
社会に存在する弱肉強食の容赦ない残酷さを描きつつ、このドラマは同時に食の中に存在する愛の記憶もまた、容易には消えないことを描く。
今作が描くその愛おしさは救いでもあり、裏を返せばやるせなさでもある。
『リブート』第5話考察
街の小さな老舗洋菓子店のパティシエ・早瀬陸(松山ケンイチ・鈴木亮平)の人生は、行方不明になっていた妻・夏海(山口紗弥加)の遺体が発見されたことで一気に暗転する。
妻と刑事の儀堂歩(鈴木亮平)を殺害した冤罪から逃れるため、幸後一香(戸田恵梨香)の言うままに儀堂になりすました早瀬は、裏社会の金をめぐって何度も死地をさまようことになる。
このドラマの面白さは、主人公の早瀬陸以外にどの人物も真意を明らかにしないが、物語の進行と同時に、ぼんやりと彼らの背景や隠している感情が見えてくるところだと思っている。
分かりやすい説明やセリフがなくても、雪が積もるようにそれが明らかになっていく。
今週でいえば、冬橋航(永瀬廉)の仲間に向ける屈託ない笑顔と、早瀬を相手にした時の感情を押し殺した表情の落差だ。
雇い主である合六(北村有起哉)から、頻繁に豪華な食事を与えられているであろう冬橋が、仲間の為に自ら作るのは豚汁であり、一緒に振る舞うのは具の少ないナポリタンだった。
豚汁は炊き出しの定番料理だし、ナポリタンもまた空腹時や材料がない時に手早く作る『とりあえず』な料理の代表格だ。
それが冬橋にとっての幸福の味、愛情の味なのだと思う。
「食べ方が汚い」「出世したければ直せ」と合六に言われていたが、冬橋はそれも直す気配はない。仲間達の中で箸をわしづかみにして笑顔で食べていた。
冬橋航という青年にとって何が一番大切なのか、はっきりと示した一幕だったと思う。
鈴木亮平の真骨頂を見られる演じ分け
そして今週一番、いやおそらくこのドラマ前半の一番の見どころは、鈴木亮平が早瀬陸と儀堂歩、二人の男を同時に演じ分けた後半の20分だろう。
これまでも鈴木は二役を演じているが、同じ画面で同時に演じる姿は今回が初めてだった。
改めて同時に見ると、同じ顔でありながら全く違う人物がそこにいるということが、ごく自然に認識できる。
これこそが鈴木亮平の演技の真骨頂で、見る側に解釈や思考を負担させるより前に、その存在感で見る者をシームレスに物語の中に連れて行くのである。
そして早瀬と儀堂の極限の対話の中で、次第に儀堂という男がどんな人物なのかも浮き彫りになってくる。
誰一人信じられない味方もいない、荒野のような暮らしの中で妻・麻友(黒木メイサ)への愛を隠し通した儀堂が書いて託す離婚届は、ある意味遺書に他ならないと思う。
もっと鈴木亮平が演じるアウトローの色気を見ていたい。どうしても次回の展開が気がかりだ。
誰が誰を騙して嘘をついているのか二転三転してきた今作だが、物語の焦点は『誰が多額の現金を欲しているのか』ということに絞られてきたように思う。
妹の手術費用とその後の生活をまかなうに足る財産が必要な一香、多くの仲間たちとの居場所を作りたい冬橋、そして妻のために火事の損害賠償と自身の逃亡費用が必要な儀堂。
そしてこの先、早瀬には警察内部に潜む合六の密通者との暗闘も待っている。
3話で一瞬映った合六と真北弥一という名の政治家との繋がりの示唆、そして4話で監察官の真北(伊藤英明)が早瀬に言い放った「今のうちに美味しいものでも食べておいて下さい」という挑発の言葉。
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出演者が投稿した4話でのオフショットや、SNSの反応、考察も紹介しています。
「儀堂と早瀬で、コーヒーの飲み方が違う」「徹底的なコピーがすごい」といった声も上がっていました。
また、鈴木さんのお面を被った松山さんの投稿も話題に。2人のSNSでの交流からも見逃せません!
[文/かな構成/grape編集部]