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【考察】一香と夏海が抱えるそれぞれの『悲しさ』 儀堂と比較して見えたもの『リブート』8話

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【考察】一香と夏海が抱えるそれぞれの『悲しさ』 儀堂と比較して見えたもの『リブート』8話

SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。

2026年1月スタートのテレビドラマ『リブート』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。

かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。

『リブート』(TBS系)というドラマの興味深いところは、一見突飛な設定に思えても案外、今の現実に対して芯を食っているところだ。

まずは瞬間の見た目や映像だけで、拙速に判断をしては本質を見誤るということ。

そして、8話を見て痛感したのは、誰かがごく小さなきっかけから犯罪に引きずりこまれるとき、反社会的勢力は家族の存在を使って脅してくるということだ。

ニュースで頻繁に目にする闇バイトの犯罪について、逮捕された末端の人々は、みな一様に「免許証等で住所を押さえられた」「逃げたかったが家族に危害を加えると言われた」と口をそろえて言う。


遠い世界の出来事のようにニュースで耳にするその言葉が、フィクションとはいえ、物語の中で感情移入しながら聞くと恐ろしさと痛みを伴ってくる。

決して近づいてはならないと、闇バイトや犯罪への注意喚起という意味合いでも、このドラマが果たす役割は小さくはない。

物語そのものの面白さと両立させながら丁寧に練られた監修の数々に、拍手を送りたい。

一人二役を演じた戸田恵梨香


商店街の片隅で洋菓子店を営むパティシエ・早瀬陸(松山ケンイチ・鈴木亮平)の人生は、失踪していた妻の遺体発見をきっかけに暗転する。

妻殺しの冤罪を晴らすために悪徳刑事の儀堂歩(鈴木亮平)に整形してなり替わった早瀬だが、裏社会の金をめぐるトラブルに巻き込まれ、家族の元へと戻るどころか犠牲ばかりが増えるのだった。

【考察】一香と夏海が抱えるそれぞれの『悲しさ』 儀堂と比較して見えたもの『リブート』8話

前半の早いうちから、幸後一香(戸田恵梨香)の正体は早瀬夏海(山口紗弥加)だと匂わせるような描写があり、多くの視聴者も感づいていた。

しかし、その種明かしは物語のラストピースで、最終話になるだろうと大方が予想しており、この8話で明らかになったのには正直驚いた。

そこにストーリーをなし崩しに終わらせず、起承転結を最後まできっちりまとめあげようとする作り手の強い決意が見えるようだ。
やはり今週は、早瀬夏海と幸後一香、二人の女性をめぐる悲しく残酷な運命が最大の見どころだろう。

【考察】一香と夏海が抱えるそれぞれの『悲しさ』 儀堂と比較して見えたもの『リブート』8話

息子の命を守る為に、合六の足下に泣き崩れる夏海の姿にひりひりと胸が痛む。

そして、改めて夏海のリブートの経緯が明らかになった時、一香という女性がどんな決意を持って、明るく笑いながら夏海と最後の半年を暮らしたのかを何度も考え込んでしまう。

鈴木亮平が早瀬陸と儀堂歩の二人を完全に別の人間として演じ分けたように、戸田恵梨香もまた、本来の幸後一香と幸後一香の姿をした夏海を見事に別人として演じ分けている。

【考察】一香と夏海が抱えるそれぞれの『悲しさ』 儀堂と比較して見えたもの『リブート』8話

本来の幸後一香のからりとした明るさは、風通しの良さの分だけ悲しい。

夏海の幸後一香は、優しさと迷いが詰まっていて、その分だけ温かくて悲しい。

こうして見ると、本来の一香と、本来の儀堂歩はそれぞれ対になる存在なのだと思う。

【考察】一香と夏海が抱えるそれぞれの『悲しさ』 儀堂と比較して見えたもの『リブート』8話

どちらも物語に登場する時間は長くはないけれども、この人は何を考えていてどんな人だったのだろうと知りたくなる、余韻のある人物だ。


今回、コンテナの中での儀堂と一香の最後の会話も明らかになった。切迫した僅かなやりとりの中で、やっぱり悪徳刑事・儀堂歩は無頼で荒々しくて魅力的だった。

物語の最終章に向けて最大の関心は、やはり早瀬夫婦がともに生き延びて再び息子と暮らせるのかということだが、同じくらいに冬橋航(永瀬廉)と霧矢直斗(藤澤涼架)の決断も気がかりだ。

今回、冬橋は自分の行動を合六(北村有起哉)に密告した霧矢を殴って制裁し、それで一旦手打ちにする。

その時に霧矢相手に冬橋が吐き捨てた言葉が耳に残った。

「合六に売ったな?」

「合六さん」ではなくて「合六」と呼び捨てたその言葉に、冬橋は決して合六に心の底から従ってはいない、その魂までは売り渡していないと分かる一言だと思った。

冬橋はこのままマチ(上野鈴華)を失った絶望で暴力と闇に滑り落ちるのか、それとも別の道があるのか。

最終章に向けて、見どころは尽きない。


[文/かな構成/grape編集部]

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