「町内会費を出さないならゴミ置き場は使うな」←法的にOK? 弁護士の見解は
地域によっては、毎年数千円ほどの町内会費、自治会費を集めているところがあります。会費の使い道は、防犯灯の管理、防災活動、清掃、回覧板、地域行事の運営など、さまざまでしょう。
中でも生活に直結するのが、ゴミ置き場の利用です。
地域のゴミ集積所は、町内会や自治会が掃除や管理をしているケースも少なくありません。
そのため、会費を払っていない人に対して、「町内会に入っていないなら、ゴミ置き場は使わないで」といった声が上がることもあるようです。
町内会側からすれば、掃除や管理を担っている人との公平性が気になるところでしょう。
一方で、住民側にとって、ゴミ出しは日常生活に欠かせないもの。制限されては生活に支障が出ますよね。
町内会費を払わないと、ゴミ置き場は使えない?
では、町内会費を払っていないことを理由に、ゴミ置き場の利用を制限することはできるのでしょうか。
ベリーベスト法律事務所の齊田貴士弁護士に話を聞きました。
――町内会費を払わない人に、ゴミ置き場を使わせないことは問題になりますか?
町内会や自治会は、原則として任意加入の団体です。
そのため、加入していないことや町内会費を払っていないことだけを理由に、ゴミ置き場の利用を一律に禁止する対応は、慎重に考える必要があります。
――「慎重に考える」とはどういう意味でしょうか?
家庭ゴミの収集は、本来、市区町村が関わる生活に欠かせない行政サービスです。住民がゴミを出せない状態になれば、衛生面の問題にもつながりかねません。
実際に、自治会への未加入を理由にゴミ捨て場の利用を一律に禁止することについては、違法と判断された例もあります。
一方で、ゴミ置き場の清掃やカラスよけネットの管理、当番などを町内会が担っているケースもあります。
そのため、非加入者であっても、まったく負担なく利用できるとは限らない場合もあるようです。
※写真はイメージ
――もめずに折り合うには、どうすればよいのでしょうか?
現実的には、町内会への加入とゴミ置き場の管理負担を分けて考える方法もあります。
例えば、町内会に入らない人でも、ゴミ置き場を利用する場合は維持管理費の一部を負担したり、清掃当番や分別ルールに協力したりする方法が考えられます。こうしたルールをあらかじめ決めておくことで、町内会側の不公平感や、非加入者側の不安も和らぎやすくなるでしょう。
また、話し合いが難しい場合は、市区町村の廃棄物担当課や自治会担当の窓口に相談してみるのも1つの方法です。地域によって、ゴミ集積所の管理方法や利用ルールが異なることもあるためです。
お互いが気持ちよく過ごせる落としどころを探そう
町内会費をめぐる問題は、お金のことだけでなく、地域での暮らし方や人間関係にも関わるでしょう。
町内会側には管理の負担があり、非加入者側にも生活の中でゴミを出さなければならない事情があります。
※写真はイメージ
どちらか一方を責めるのではなく、それぞれの負担を見える形にしていくことが、トラブルを避ける第一歩といえそうです。
「払う、払わない」だけで対立するのではなく、「何に使われているのか?」「どこまで協力すればよいのか?」を確認しながら、無理のない落としどころを探すことが大切でしょう。
弁護士。神戸大学法科大学院卒業。弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。
離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。
HP⇒ベリーベスト法律事務所
[文・取材/LUIS FIELD構成/grape編集部]