「感染のリスクは平等じゃない」 ニュースキャスターの批判に、称賛の声 「よく言った」
2020年4月現在、世界中で猛威を振るっている、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)。
イギリスでは、同年3月23日夜より、不要不急の外出を厳しく制限するロックダウン(都市封鎖)を行っており、生活必需品を扱う店以外はすべて閉店しています。
通勤は銀行や医療機関、バスや電車など公共交通機関のスタッフのみで、そのほかの人が外出していいのは食料・日用品や薬の買い物と、1日1回のエクササイズだけとなっています。
同年4月9日、イギリスのニュース番組『BBC Newsnight』では、MCを務めるキャスターのエミリー・メイトリスが「コロナウイルスの危機は誰でも平等に起こる」といった政府関係者のいい分を批判。その内容が反響をよんでいます。
COVID-19にまつわり使われる表現は時に陳腐で、誤解を招くものになっているようです。
不屈の勇気と精神力があれば助かるなんてことはありません。首相の同僚たちがなんといおうが。
そして、この病気が誰でも平等に扱うというのも違います。
お金持ちも貧乏な人も平等に苦しむなんて、こんなデマカセを否定しなければなりません。
今この闘いの最前線にいるのは、バスの運転手、看護師、介護施設スタッフ、病院のスタッフ、小売店の店員など、この国の労働人口の中で不均衡に低賃金の人たちです。
ウイルスに接触する機会が多いこうした人たちは、その分感染のリスクが高く、低所得者向けの高層住宅や小さなアパート暮らしの人は、今このロックダウンで特に大変な想いをしています。
肉体労働の人は、自宅勤務ができません。
この健康問題は、社会福祉に大きな影響を与えます。そしてこれは社会福祉の問題として公共衛生に大きな影響を及ぼします。
@BBCNewsnightーより引用(和訳)
“This is a health issue with huge ramifications for social welfare, and it’s a welfare issue with huge ramifications for public health.”
— BBC Newsnight (@BBCNewsnight) 2020年4月9日
ICYMI: #Newsnight reported on #coronavirus and how the pandemic is widening social and economic divisions
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淡々とした口調で、コロナウイルスによって浮き彫りになった『不平等の現実』を突きつけたキャスター。
ネット上では、多くの共感の声が寄せられています。
・共感しかない。スーパーの店員だけど、最低賃金でリスクを背負わされる現状を知ってほしい。
・こういう事態のために、看護師や介護士、保育士や看護助手の給料や補償をもっと上げるべき。・清掃業の仕事で、医療施設や介護施設などで働いています。すごく怖いです。
・キャスターの発言力がすばらしい。日本でももっと現実を見つめる報道をするべきでは。
日本でも同月7日に非常事態宣言が発令され、飲食店の休業や外出自粛、自宅勤務などの措置を要請されています。
しかし、在宅勤務ができる人は限られています。感染者と接する可能性の高い職場で働く人たちや、生活のために外で働かざるを得ない人たちもたくさんいるでしょう。
こうした人々の状況にもっと目を向け、しかるべき補償や賃金の値上げなど、対応策をしっかり検討していくべきではないでしょうか。
[文・構成/grape編集部]