作業服の男性客が「こんな格好でごめん」というと… 店員の『返答』に、胸が熱くなる
2020年7月現在、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催しています。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『母ちゃんと作業着』をご紹介します。
母ちゃんと作業着
私は山形で生まれた。実家は焼き鳥の店だった。幼い頃は、それでよくからかわれた。まだ周りにはそういった店はなく、街で初めての酒を提供する店だった。毎日お客さんがやってくる。
学校の先生や警察官、農家、工場勤務のサラリーマン、いろいろな人がやってきた。隣のパーマ店の息子さんやその友人達もやってきた。息子さんの切ない恋模様なんかも店の中で繰り広げられた。
夏は近所の方や業者さんを招待し、店の前の敷地でビアガーデンをやっていた。お店と住居が繋がっているため、お客さんのカラオケや会話が良く聞こえた。宿題をしながら聞こえてくる歌や話し声のおかげで、私は寂しくなかった。むしろ賑やかな毎日だった。
店を切り盛りするのはママ、私の母だ。