幼稚園の給食を残した園児 その『理由』に、先生は涙した
2020年7月現在、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催しています。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『先生の涙』をご紹介します。
先生の涙
もう四十年も前のことです。
上の娘・お姉ちゃんが幼稚園の年中さんのときの出来事でした。その頃の園の昼食は、白い御飯だけお弁当箱に入れて持って行き、おかずは園で用意してくれました。
幼稚園も夏休みに入り、担任の先生が家庭訪問にやってきました。お姉ちゃんは二歳下の妹と近所の家へ遊びに行っています。
何軒か園児の家を回ったというのに、先生は疲れた様子もなく、挨拶もそこそこに話を切り出されました。
「コロッケが二こ出たんですが、どうしてももう一こ食べないんですよ。コロッケが嫌い?って訊いたら、そうでもなくて。できるだけ残さずに食べようね、ほかのみんなは二こ食べちゃったよ、って言っても、強情なんですね、とうとう残しちゃいました」
このことが先生の最大の関心事だったようです。