就職活動中の女子大生が困っていると… 見知らぬ男性の『行動』に、胸がじんわり
2020年7月現在、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催しています。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『差し出された傘』をご紹介します。
「あ、雨。ついてないな。」
その日の天気予報は夜から雨。午後から降るとは梅雨の天気は本当にあてにならない。愛知から東京まで移動するのに、ただでさえ荷物が重かったので雨は降らない、と高を括って傘を置いてきた私への天罰だ。
二十年前のその日、私は就職活動で東京の会社を受けに来ていた。
折しも世間では大氷河期と言われた時代。四大文学部卒業の女子はどこを受けてもお荷物扱い、説明会にすら呼んでもらえないような時代だった。
十人並みの大学生生活しか送ってこなかった私は、例にもれず就職活動に難航。そんな中ようやく面接までたどり着けた会社へ向かう途中であった。梅雨の天気はあてにならない。うまくいかない就職活動に天も見放したか、とどん底に突き落とされた気持ちになった。