2歳息子とバスに乗ったら… 運転手の『行動』に、母親が涙こらえた理由
2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『子育て応援バス』をご紹介します。
息子が2歳の時のことだ。私は、初めての子育てに戸惑いながら、イヤイヤ期の息子と過ごす一日は長く、どうすれば親子ともに機嫌よくいられるのかを毎日必死で考えていた。
息子は例に漏れず、乗り物が大好き。特に都営バスに乗ることが大好きだった。
言葉の遅かった息子は、「バッ」と言って都営バスに乗りたいとアピールする。
家の近くのバス停から新宿駅西口行きの都営バスに乗れば、往復で2時間は時間が流れていってくれる。
だから、私たち親子は毎日都営バスに乗って過ごした。目的地は特に無い。息子が望むままに一日中バスを乗り継いで過ごしたこともある。
その日は、よく晴れていた。平日の昼前、いつも通り息子を抱きかかえて、ICカードをタッチさせてやり、都営バスに乗り込む。