「神様なんていない」と思った女性 成人式後、母にいわれた『言葉』にハッ
2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『神様なんて、いないのに』をご紹介します。
「ああ、早く外に出たいわあ」
表紙に『京都の神社・仏閣巡り』と書かれた本を片手に母がため息交じりに言う。
テレビではどのチャンネルに変えても「マスク売り切れ」「自粛要請」「一人一人の行動にかかっている」等、同じ言葉の繰り返しばかりで息が詰まりそうになる。
この息苦しい感じ…あのときもそうだったな。
今から4年前、私は大学受験を控えた受験生だった。第一志望だった某国立大学は推薦入試、前期入試ともに不合格。
周りは次々に進路が決まっていく。
先生からもつい数か月前まで「あなたの成績なら大丈夫」と太鼓判を押されていた私は、いつの間にか取り残された。
ある日、学校から帰宅すると、リビングの上に白い小さな袋が置かれていた。私の存在に気づいた母が「あ、おかえり!」