晴れの日も、なぜかビニール傘を持ち歩く親子 その理由は…
4月からの二か月間、私と息子は自粛生活を余儀なくされ、いつもの時間に外に出てお兄さんを探せなくなってしまいました。
食事の準備に加えて、やんちゃ盛りの息子の遊び相手を毎日こなすのはアラフォーになった私にとってかなりタフな毎日でしたが、息子の成長にどっぷりと向き合うことができ、とても濃密で愛しい日々でもありました。
振り返ってみると、息子を授かってから、誰かの親切が身に染み、心の底からの「ありがとう」が沸き上がる経験を何度もしてきました。
妊娠中の通勤電車でいつもの時間にいつもの車両で出くわすたびに席を譲ってくれた初老のおじさん。エレベーターのない地下鉄でベビーカーを一緒に運んでくれた外国人の女性。
感謝があふれる瞬間に遭遇するたびに何もお返しできることがなく、もどかしさの中で祈ることしかできませんでした。この人に今後の人生で良いことが雪崩のように起きますように。嫌なことや悲しいことは絶対に起きませんように、と。
今日も通園路でキョロキョロ探索を継続です。私たちは意外にしぶとく、まだ返却を諦めていないのです。
grape Award 2020 応募作品
テーマ:『心に響くエッセイ』
タイトル:『晴れの日もビニール傘』
作者名:葵らいでん
エッセイコンテスト『grape Award 2020』の審査員が決定!
2017年から続く、一般公募による記事コンテスト『grape Award』。