担任が自己紹介で発した言葉に、生徒あ然… しかしその後、言葉の意味を理解した
2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『私は、皆さんを愛します。』をご紹介します。
中学2年の4月、担任発表をするために学年集会が開かれ、武道館に集められた。クラス替えをしたばかりで、周りはいつも以上に賑やかだ。
学年主任の先生が私のクラスの担任を発表する。呼ばれて前に出てきたのは、母と同じぐらいの年齢にみえる、ちょっと太った女の先生だった。
初対面の先生が話す挨拶は、だいたい同じに聞こえる。今までの学生生活の中で記憶に残っている先生の挨拶なんて無い。
そんなことを思っていると、先生は自分の名前を言った後で、私のクラスが座っている方に体を向き直し、話を続けた。
「私は、皆さんを愛します。」
私の頭が一瞬フリーズした。今まで愛しますなんて言われたことがない。
況して、見ず知らずの人に愛しますと言われても、反抗期真っ盛りの私には重すぎる。