泣いている女性の前に停まった、タクシー 運転手の行動に心打たれる
2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『心を拾ってくれたタクシー』をご紹介します。
タクシー運転手という職業をとても尊敬している。
見ず知らずの人を車に乗せて、時には横柄な態度を取られ、理不尽な怒りをぶつけられることもあるだろうに、24時間いつでもしっかりと目的地へと連れて行ってくれる。
東京で働いていた時は、激務ということもありほぼ毎日タクシーに乗っていた。私が新人の頃は、深夜に半泣きで帰路につく私を、運転手さんがよく励ましてくれていた。その時間が私はとても好きだった。
中でも、忘れられない運転手さんがいる。
数年前の年末のこと。仕事でひとつの大きな案件を終えた夜だった。私は、ほぼ2徹状態での肉体労働を終え、身も心も満身創痍、一刻も早く家に帰って暖かい布団に滑り込みたい、その一心だった。
日付が変わった頃に会社を出て、今にも崩れ落ちそうな肢体を家まで運んでくれるタクシーを探した。